1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640576
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
稲垣 都士 岐阜大学, 工学部, 教授 (10108061)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 有二 岐阜大学, 工学部, 助手 (10192684)
石田 勝 岐阜大学, 工学部, 助教授 (30135181)
|
Keywords | 遷移状態 / ジェミナル結合 / ディールス-アンダー反応 / 選択性 |
Research Abstract |
我々は、遷移状態の結合モデルを提案し、ブタジエンとエチレンのディールス-アルダー反応の遷移状態における結合の相互作用解析して、その結果から、Z-とE-1-置換ブタジエンの相対的反応性を予測した。早い遷移状態では、反応物と同じ結合もつ(反応物型結合モデル)として、遅い遷移状態では生成物と同じ結合をもつ(生成物型結合モデル)として、結合の相互作用を評価した。ディールス-アルダー反応では予想通り遷移状態は早いことが確かめられ、反応物型モデルでの解析の結果、ブタジエンの反応点のジェミナル結合のうち、Z位のσ_<C-H>軌道からエチレンのπ〓軌道への電子非局在化は結合的であるが、E位のσ_<C-H>軌道からの非局在化は反結合的であることが明らかになった。 この対照的なジェミナル結合関与から、1-置換ブタジエンのZ体とE体の相対的反応性を予測した。ジエンのZ位に電気陰性度の低い置換原子がある方が、Z位のσ軌道のエネルギーは高く、またσ軌道は反応点の炭素側へ分極するため、ジエノフィルのπ〓軌道との重なりも大きくなり、σ軌道からπ〓軌道への非局在化が起こりやすく、反応性が高いと予測される。理論計算によって得られたZ-およびE-1置換ブタジエンの活性化エネルギーは予測を支持した。 以上から、反応点のジェミナル結合関与が明らかとなり、さらにZとE-1置換ブタジエンの相対的反応性の予測が得られた。また、遷移状態の結合モデルの有用性が確認できた。
|
Research Products
(1 results)