1998 Fiscal Year Annual Research Report
非水溶液用高分子膜型陰イオンセンサーの開発とその応用
Project/Area Number |
10640587
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 俊夫 信州大学, 理学部, 教授 (00020678)
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Keywords | イオンセンサー / 非水溶液 / 高分子膜 / フッ化物イオン / シアン化物イオン / 電位応答機構 / 金属フタロシアニン / 配位子交換反応 |
Research Abstract |
非プロトン溶液中で使用できるイオンセンサーの開発とその応用を目的とする研究を行なった。本研究ではまず,感応膜として中心金属がGaであるフタロシアニン錯体[Ga(pc)]をニトロ誘導体を経てアミノ誘導体とした。これをゲスト化合物として,膜マトリックスとして用いる親水性高分子のポリアクリルアミド(PAA)にアミド結合した。得られたPAA-[Ga(pc)]およびこれまでに得られているPAA-[VO(pc)]をテフロンを保持体とする白金ディスク電極にコーティングした。これら電極の各種非プロトン溶媒中の陰イオンに対する電位応答を調査した。結果は次のとおりである。 PAA-[VO(pc)]電極はアセトニトリル(AN)およびプロピレンカーボネート(PC)中のF^-およびCN^-に対してネルンスト応答を示し,Cl^-およびBr^-に対してはほとんど応答せず,I^-およびCF_3SO_3^-に対しては超ネルンスト応答を,BPh_4^-にはプラス方向にネルンス応答より低い勾配の電位応答を示した[1]。この電極はまた,N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)および1-メチル-2-ピロリドン(NMP)中のF^-およびCN^-に対してネルンスト応答することが確認された。これらの特異的電位応答を理解するために行ったUV/VISによる研究で,[VO(pc)]はAN中のF^-およびCN^-のみと錯形成反応を示し,Cl^-およびBr^-などとは錯形成反応を示さないことが判明した。これらの錯形成反応は水分子が極低濃度の条件下では,CoやVOに配位した非水溶媒分子と,F^-およびCN^-との配位子交換反応によるものと考察した[1]。これらの結果から,この電極がF^-およびCl^-に対してネルンスト応答を示し,Cl^-およびBr^-とは電位応答を示さないことが理解された。PAA-[Ga(pc)]電極はAN,DMA,NMP中のF^-およびCN^-に対してPAA-[M(pc)](M=Co,VO)電極と同様に,ネルンスト応答,あるいはほぼネルンスト応答を示した。これらの結果の一部は第59回分析化学討論会(小樽)で発表した。(同講演要旨集p.15)。[1]T.Nakamura,et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,72,235(1999).
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[Publications] T.Nakamura, T.Ueda, T.Yanagisawa, H.Watanabe: "The Response Properties of a Platinum Electrode Coated with an Oxo(phthalocyaninato) vanadium(IV) Conjugate Polymer to Various Anions in Nonaqueous Solutions" Bull.Chem.Soc.Jpn.72・2. 235-238 (1999)