1998 Fiscal Year Annual Research Report
液体クロマトグラフィーにおけるムコ多糖類が発現する分離選択性に関する研究
Project/Area Number |
10640589
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
竹内 豊英 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40135322)
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Keywords | 液体クロマトグラフィー / イオンクロマトグラフィー / 固定相 / ムコ多糖類 / 保持機構 / 陰陽両イオン |
Research Abstract |
1. はじめに ムコ多糖やデキストラン硫酸などの陰イオン性多糖類を修飾した陰イオン交換体が,陰陽両イオン交換基が共存する結果,従来にはない分離選択性を発現することを見出した。本年度は,溶離液の条件や基質の孔径の保持特性に与える影響について検討した。 2. 実験 市販の陰イオン交換体を,内径0.32mm,長さ10cmの溶融シリカキャピラリーに充てんし,各種溶媒で洗浄後,1%の修飾剤を含む水溶液を約0.5mL通液することによって修飾固定相を調製した。本研究では,ヘパリン,コンドロイチン硫酸ナトリウムなどのムコ多糖及びデキストラン硫酸を修飾剤として用いた。修飾剤は,陰イオン交換体に静電的に導入した。修飾剤の分子量分布は,サイズ排除クロマトグラフィーによって求めた。修飾前後の陰イオン交換容量は,それぞれ10 mMまたは1 mMの硝酸ナトリウム水溶液を用いて測定した。一方,修飾後の陽イオン交換容量は,2 mMの硫酸銅水溶液を用いて測定した。 3. 結果と考察 同じイオン交換基を有し,孔径の異なるシリカベースの強塩基性陰イオン交換体について,平均分子量2.2x10^4(PEO換算)のヘパリンを修飾し,修飾の前後でイオン交換特性がどのように変化するかを検討した結果,ヘパリンを修飾することによって陰イオン交換容量が減少し,陽イオン交換性が発現することがわかった。また,孔径が大きいほどヘパリンがより多く導入され,陰イオン交換性が弱くなることが判明した。これは,導入された修飾剤が基質の陰イオン交換基に結合していないフリーの陰イオン性の基を有するために陽イオン交換性を発現するからである。なお,修飾後の陽イオン交換容量は,孔径の影饗をあまり受けいないことがわかった。 同じ基質を,分子量分布の異なるデキストラン硫酸で修飾し,その修飾効果を検討したところ,平均分子量の小さいデキストラン硫酸で修飾した方が陽イオン交換性が強くなることがわかった。デキストラン硫酸で修飾した陰イオン交換体によってアルカリ金属及びアルカリ土類金属イオンの分離が達成できた。
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[Publications] T.Takeuchi, Safni, T.Miwa, Y.Hashimoto, H.Moriyama: "Ion chromatography using anion exchangers modified with dextran sulfate" Chromatographia. (印刷中). (1999)
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[Publications] Safni, T.Takeuchi, T.Miwa, Y.Hashimoto, H.Moriyama: "Effect of eluent composition on retenti on behavior of anions in ion chromatography on anion exchangers modified with heparin" J.Chromatogr.A. (印刷中). (1999)