2000 Fiscal Year Annual Research Report
イネ細胞の核マトリックスとマトリックス結合領域DNA特異的結合
Project/Area Number |
10640625
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野村 港二 筑波大学, 農林学系, 助教授 (00183905)
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Keywords | 細胞核 / 核マトリックス / クロマチン / 高等植物 / イネ |
Research Abstract |
細胞核の核マトリックスと結合しているDNA領域はMatrix attachment region(MAR)と呼ばれ、転写や複製などに深く関与する。MAR中にはモチーフ様配列が存在することがあるが、全長に渡る塩基配列の保存性は見出されていない。本年度は、DNAと蛋白質の相互作用には塩基配列自体よりも、それによって作られるDNA分子の立体構造が重要であることに注目し、MARの機能を立体構造上の特徴を明らかにした。 まず、塩基配列からDNAの立体構造を推定する既存のモデルに基づいたプログラムを開発し、データベース上に公開されている123個のすべてのMARの立体構造を算出した。その結果MARの立体構造が多様であることが明かにされた。このことは、MARを立体構造によって分類し、機能と関連付けることへの道を切り開いた。第二に、MARの立体構造を遺伝子、プロモーター、エンハンサー、トランスポゾンのそれと比較した。そして、配列の長いMARおよびトランスポゾンにおいて、湾曲した領域を持つものが有意に多いことを明らかにした。第三に、DNAの湾曲を引き起こす主要な要因である4残基以上のアデニンの連続部位である(dA)トラクトの分布を解析した。その結果、ほとんどのMARにおいて(dA)トラクトがクラスター状に分布していることを明らかにした。これらから、MARがその全長に渡って特徴的な構造をもつことが示唆された。こらは今後、MARとMAR結合蛋白質の特異的結合の様式を明らかにするための足がかりとなる結果である。 なお研究の具体的な成果と同時に、ゲノムプロジェクトによって膨大な塩基配列情報が蓄積しつつあるデータベースを活用したin silicoの手法によって、あらたな発見が可能であることと、研究の効率を高めることが可能であることをも示すことができた。
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