1998 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物高温超伝導体における臨界電流密度とピンポテンシャル
Project/Area Number |
10650313
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮原 邦幸 熊本大学, 工学部, 教授 (90040401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤吉 孝則 熊本大学, 工学部, 助教授 (80212190)
久保田 弘 熊本大学, 工学部, 助教授 (20170037)
|
Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 臨界電流密度 / 不可逆線 / 磁束グラス / 磁束液体 / ピンポテンシャル / パーコレーション / ピーク効果 |
Research Abstract |
酸化物超伝導体の電流-電圧特性は、複雑な温度,磁場依存性を示すが、適当な規格化を行うことにより、ある温度(グラス転移温度)を境として2本の基本曲線に統合(スケーリング)される。この現象は磁束系自体がこの温度でグラス相から液体相へ熱力学的に相転移することに因ると考えられている。そこで、YBa_2Cu_3O_<7-δ>薄膜において、そのc-軸と±30゚の角度から照射エネルギー200MeVの重イオン^<197>Au^<+13>を5.0×10^<10>cm^<-2>だけ照射することにより、人工的に導入できる欠陥の中でピン止め力が最も強いと考えられている柱状欠陥を導入した。この試料に対して、その電界-電流密度特性を規格化する際のパラメータの重イオンを照射したことによる変化の温度,磁場依存性を調べた。その結果、この現象もいろんな強さのピンニングセンターが適当に分布していると仮定すれば、その磁束線とそのピンニングセンターとの相互作用によっても説明できることを示した。この事は、ピンを人工的に導入することにより、損失無しで輸送電流を流しうる最大磁場を与える不可逆磁場の大きさを向上できるということ、つまり高温超伝導体の特性を改善するための新しい方針を与えることができた。 また、臨界電流密度が、ある特定の試料では外部磁場の増加とともに一時増加するというピーク効果について考察した。YBa_2Cu_3O_<7-δ>バルク試料の磁化の外部磁場掃引速度依存性から、その高温超伝導体の電界-電流密度特性を正確に算出し、磁場中の量子化磁束線の運動を規定するピンニングポテンシャルを計算し、このポテンシャルの磁場依存性に対して、磁場誘起型の磁束ピンニングを考慮した集団的磁束ピンニング理論を適用することにより、このピーク効果が説明できることを明らかにした。この事は、積極的にピーク効果を利用すれば、臨界電流密度を向上させることが可能であることを意味している。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 宮原 邦幸: "Transport characteristics near the glass-liquid transition temperature before and after heaiy-ion lrradiation in a YBa_2Cu_3O_<7-δ> thin film" Physica C.Vol.39,No.1-2. 79-88 (1998)
-
[Publications] 宮原 邦幸: "Sweeprate dependence of magnetic hysteresis looops and peak effects in high-Tc superconductors" Sapcrenduetor Science and Technology. Vol.12,No.1. 1-7 (1999)