1999 Fiscal Year Annual Research Report
大河川河口周辺の物理現象と干潟生態系の応答に関する研究
Project/Area Number |
10650509
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中野 晋 徳島大学, 工学部, 助教授 (50198157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 利一 徳島大学, 工学部, 助手 (00284307)
上月 康則 徳島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60225373)
岡部 健士 徳島大学, 工学部, 教授 (10035652)
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Keywords | 吉野川 / 干潟 / 植生 / 地形変動 / 底生動物 / 主成分解析 / 数値計算 / 河口 |
Research Abstract |
中野は平成5年度から実施しているシオマネキ属(Genus Uca)の生息分布調査を吉野川などの徳島県内3河川,四万十川などの高知県内8河川,春日川など香川県内6河川で実施した.吉野川周辺の数値地図情報と衛生データ(LANDSAT,JERS)を統合的に扱うためのデータベースの一部を作成した.また河口砂州の変形計算の精度を向上させるため,2次元河床変動計算法の改善を行った.さらに物理現象と河口部の干潟生態系の応答を調べるために必要となる準3次元流動計算プログラムを作成し,その精度の検討を行った. 岡部は交互砂州の上に発達した植物群落について10×10mメッシュの植生図を作成し,これと過去30年間の河床変動記録を比較して,砂州を縁取る樹木群落が,水ハネ効果により低水路の深掘れを助長したことを確認した.また,植物の河状履歴に対する選好度を利用した植生分布の再現モデルを構築した.これによって約55%の確度でメッシュ内植物の種類を判別することができた. 上月は吉野川河口14kmの汽水域において,干潟潮間帯のスナガニ類の分布に関する調査を行い,その結果,「(1)淡水流入の影響程度に応じて,潮間帯の底質の粒度組成に変化がみられ,塩分変動が小さい地点では,潮間帯の中頃に位置する部分で粗粒化する傾向があった.一方,淡水の影響によって塩分が変動する地点では,潮間帯下部ほど粗粒化していた.(2)スナガニの個体数は淡水の影響がみられる地点で最も多かった.」などの成果を得た. 北野は河口地形変化の現象を把握するために,深浅測量による地形の時系列データを対象とした主成分解析による新たな地形変動分析法についての理論的考察を行った.時系列データを複素化することにより,地形変動の時間的スケールやその伝播経路といった変動特性について摘出可能であることを示した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 中野晋、北野利一、藤川美和: "吉野川下流部の地形変動と洪水による河口砂州変形計算"海岸工学論文集. 46巻. 641-645 (1999)
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[Publications] 北野利一、中野晋、岡彰紀、間瀬肇: "主成分解析による新たな地形変動分析法に関する理論的検討"海岸工学論文集. 46巻. 626-630 (1999)
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[Publications] 北野利一、間瀬肇: "複素主成分解析の変動データの応用"京都大学防災研究所年報. 42号. 369-379 (1999)
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[Publications] 岡部健士、上田幸信、鎌田麿人、梅岡秀博: "砂州上の植物群落立地の物理環境特性とこれを利用した群落分布の予測"環境システム研究. 27巻. 323-329 (1999)