1999 Fiscal Year Annual Research Report
植生の大変形弾性振動を考慮した穂波発生のメカニズムと物質・エネルギ交換過程の研究
Project/Area Number |
10650513
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
日野 幹雄 中央大学, 総合政策学部, 教授 (30016323)
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Keywords | 穂波 / 植生の風振動 / LES乱流モデル / 数値シミュレーション / 弾性植生の変形振動 / スペクトル / ウェーブレット |
Research Abstract |
1.研究目的 稲や麦あるいは河原のアシ・ヨシなどの植物群には,時折特に強風時に,穂波発生がみられる.植生層の直上(上縁付近)には大規模な秩序構造をもつ渦列が形成され,これが,大気層と植生層との間の運動量,物質,熱などの混合に大きく貢献している.穂波はこの混合作用に強く関わっていると考えられる. 本研究は,3次元数値シミュレーション・モデルを開発し,これを用いてホナミ発生のメカニズムを解明し,植生層内外の乱流構造を明らかにしようとするものである. 2.得られた成果 穂波の発生のメカニズムに関しては,(a)ガスト・アタック説,(b)大気乱流と稲穂の撓みとの共鳴説,(c)大気流と植生層の間の剪断流の変曲点不安定説が提案されている. (1)本研究では,LES乱流モデルによる,稲穂茎大変形を考慮した3次元数値シミュレーションの計算法を提出した. (2)広範な数値実験の結果,大気層と植生層との界面に生じる剪断流により,(渦の大きさや発生の周期は流れの形成とともに変化するものの)規則的な渦列の発生は乱流状態においても確認された. (3)穂波は,(稲の固有周期と渦の発生周期とがずれていることもあり)発生の初期では渦列との相関は低かった.後半期には,渦列発生の周期は稲波のそれに近づいた. (4)このことにより,大気の乱れの少ない状態では明確な剪断流不安定説により,乱れの十分に発達した段階では,大気乱流との共鳴説やガスト・アタック説が成立すると結論される.
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[Publications] 日野 幹雄: "大変形を考慮した植生境界層流の不安定化と穂波発生機構に関する数値シミュレーション"水工学論文集. 43. 803-808 (1999)
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[Publications] 日野 幹雄: "大変形を考慮した穂波の数値シミュレーション(4)"日本流体力学会年会論文集. 515-516 (1999)
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[Publications] 日野 幹雄: "穂波とキャノピー・フローの数値シミュレーションとウェブレット解析"第13回数値流体力学シンポジウム論文要旨集. 177 (1999)
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[Publications] 日野 幹雄、葛生 和人: "風に戦ぐ稲穂(稲波)の数値シミュレーションとアニメ表現"第14回生研NSTシンポジウム講演論文集. 103-107 (1999)