1999 Fiscal Year Annual Research Report
実際の居住環境に近い状況下での風外乱に対する知覚閾の検出とその性能評価
Project/Area Number |
10650575
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20151342)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木 章江 文化女子大学, 家政学部, 専任講師 (00259706)
野田 千津子 日本女子大学, 家政学部, 助手 (80270221)
平田 京子 日本女子大学, 家政学部, 講師 (70228782)
|
Keywords | 水平振動 / 知覚閾 / 居住性能 / 性能評価 / 生活環境 / 周辺要因 / 予知 / 風外乱 |
Research Abstract |
1.はじめに これまでの振動に対する知覚閾の評価は,実際の生活環境とは隔たりのある実験結果に基づいて行われてきた。本研究は実状により近い環境条件のもとで被験者実験を行い,日常に即した水平振動に対する評価指標を得ようとするものである。 2.結果 本年度は,先に約30名の被験者に対して実施した,生活環境に近い状況下における水平振動知覚実験の結果を解析・検討した。その結果,振動の発生を予知せずリラックスして過ごすことで,水平振動に対する知覚閾はより大きくなるが,その影響量は振動数範囲によって異なることがわかった。この実験では振動発生に対する予知の有無や振動発生に対する意識の紛れ度合などについて主に検討したが,この実験結果をこれまでに実施した実験の結果を含めて比較検討した結果,アンケート方法にともなう被験者の意識の強さの違いなどは知覚閾に対してより大きい影響をおよぼす一方,被験者の姿勢や実験時間にともなう慣れなど,あまり影響をおよぼしていない要因があることが推察できた。 これらの結果を通して,日常環境により即した評価を行うためには,一般居住者に対するヒアリングやアンケート調査を通じて,実環境における振動評価に対して影響を及ぼす周辺要因を抽出する必要性を認識した。既往研究や各国規準類の調査をふまえると,実環境における水平振動の知覚に対しては,これまで評価の基盤とされてきた体感だけでなく,視覚や聴覚などの他の感覚も含めた周辺要因が影響をおよぼすことがわかった。 3.今後の研究課題 本年度の結果によって,被験者の状況や意識,視覚・聴覚などの体感以外の感覚などを含めた周辺要因が知覚閾に影響を及ぼすことがわかった。今後はこれらの周辺要因による知覚閾への影響を追究するとともに,できる限り多くの要因を加味した統括的な評価方法を検討したい。
|
-
[Publications] 野田千津子: "居住者の揺れ感覚に基づく住居の性能評価"日本家政学会第51回大会研究発表要旨集. 224 (1999)
-
[Publications] 野田千津子: "視覚が水平振動感覚に及ぼす影響動感覚とその評価"日本建築学会大会学術講演梗概集(環境工学I). 307-310 (1999)
-
[Publications] 北川陽子: "周辺要因が水平振動の知覚閾に及ぼす影響-その1 対象実験の概要-"日本建築学会大会学術講演梗概集(環境工学I). 319-320 (1999)
-
[Publications] 田宮麗子: "周辺要因が水平振動の知覚閾に及ぼす影響-その2 被験者の意識の違い-"日本建築学会大会学術講演梗概集(環境工学I). 321-322 (1999)
-
[Publications] 石川孝重: "周辺要因が水平振動の知覚閾に及ぼす影響-その3 評価曲線の提示-"日本建築学会大会学術講演梗概集(環境工学I). 323-324 (1999)
-
[Publications] 野田千津子: "水平振動を受ける被験者の状況が知覚閾に及ぼす影響"日本建築学会計画系論文集. 第524号. 9-14 (1999)
-
[Publications] 野田千津子: "視覚が水平振動感覚に及ぼす影響に関する研究"日本建築学会計画系論文集. 第525号. 15-20 (1999)
-
[Publications] 石川孝重: "超高層建物における居住者の揺れ感覚に関する調査研究"日本女子大学紀要 家政学部. 第47号. 49-56 (2000)
-
[Publications] 野田千津子: "生活環境に近い状況下における横揺れに対する感覚とその評価"日本女子大学大学院紀要 家政学研究科・人間生活学研究科. 第6号. 109-117 (2000)