1999 Fiscal Year Annual Research Report
特養ホーム・病院等の生活空間操作実験による入居者への効果の研究
Project/Area Number |
10650607
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 昭彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (70042520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 隆秀 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (60283503)
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Keywords | 生活空間操作実験 / 特別養護老人ホーム / 絵画の視認・非視認 / ビデオ画像分析 |
Research Abstract |
平成11年度は、平成10年度と異なるタイプの特別養護老人ホーム2ヵ所を選び調査実験を行った。これらのタイプは近年新しく登場しており(1)定員を4グループ程度に分割し落ちつきのある雰囲気で生活できる配慮をしていること。(2)さらに4室を1つのユニットとし、4室間は共用スペースを持ちかつ個室化を可能としている等の特徴を持っている。この様な新しいタイプの2施設で、昨年度同様絵画を展示し、入居者への影響を見る実験を行った。実験は(1)絵画を展示しない通常の5日間(2)西洋画を展示した5日間、(3)日本画を展示した5日間で行い、その間の絵画の視認、非視認をビデオカメラで撮影し、その画像を分析した。実験結果の分析からは(1)昨年度同様明らかに絵画展示の効果が確認できた。しかしその効果は(2)日数を経過するに従い減少する傾向があること(1施設は展示最終日に最終ということで効果が増加した)、多くの入居者が車椅子を使用するこれらの2施設では、入浴等の際は施設の職員が車椅子を早く移動させるため視認の機会とならず、(3)食事後等の自由時間に視認する傾向があること(4)手スリを使って歩く人は手スリの側の絵は見るが、その反対側の絵を見ることは少ないこと、(5)音楽を流した場合の効果は、音楽を流すことによって雰囲気の違いを感じとり、絵の展示に気がつく等の効果があること。(6)絵の展示位置と内容によって視認率が異なり、すべての絵を視認させるには展示位置と内容に工夫が必要なこと。(7)諸室がグループ化され食事等もそのグループで行う場合で症状の重い入居者が多い場合は、他の共用部分に出る機会が少ないため、各グループのコーナー等に絵の展示空間を用意する必要があること(8)車椅子の入居者が多い場合は視点が低くなるのでその配慮が計画上必要なこと(9)廊下の手スリが何かのコーナーを設けることによってコーナーで無くなるため、手スリ使用者は歩く側が限定されるため、手スリを切らない様に工夫するか、手スリのある側に展示空間を用意する配慮が必要であること等を明らかにした。
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[Publications] 渡邊昭彦他: "特別養護老人ホームの共用空間における絵画等の効果の研究-Y・G施設の比較分析"日本建築学会地域施設計画研究論文. 17巻. 247-256 (1999)
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[Publications] 渡邊昭彦他: "絵画展示によるY・G施設の視認反応率の変化に関する研究"日本建築学会学術講演梗概集. 大会号. 409-410 (1999)
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[Publications] 渡邊昭彦他: "絵画展示によるY・G施設の通過経路別の視認反応率の変化に関する研究"日本建築学会学術講演梗概集. 大会号. 411-412 (1999)
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[Publications] 渡邊昭彦他: "特別養護老人ホームの共用空間における絵画等の効果の研究-I・H施設の比較分析"日本建築学会地域施設計画研究論文. 18巻(未定). (2000)