1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10650689
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
丸山 一典 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (00143826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塩 茂夫 長岡技術科学大学, 工学部, 教務職員 (90160473)
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Keywords | ECRプラズマCVD / 硬質炭素膜 / 熱腐蝕 / RFバイアス / マススペクトル |
Research Abstract |
究極のクリーンエネルギー源である核融合炉用の壁材料としての可能性を検討するため、昨年度はECRプラズマCVD法によりメタンから作製した硬質炭素膜の真空加熱前後の硬度、膜構造および組成の変化について検討した。その結果、真空加熱により水素含有量が少なく硬度の低下も少ない硬質炭素膜を作製できることを示したが、加熱後の膜に部分的な剥離が目立ち、保護膜としては適当でないことが問題点として残った。そこで本年度はまず加熱による表面組織形態の破壊が起こらない膜の作製について検討した。 硬質炭素膜作製条件として、原料ガスのメタンにアルゴンを添加すると加熱処理によるクラックや剥離の無い膜が生成したが、新たにガスの噴出痕が膜表面に残るという別の問題点が生じた。膜のガス放出スペクトルから、膜表面の噴出痕は膜作製時に膜中に取り込まれたアルゴンが膜の真空加熱の際に放出されるためであることが分かった。アルゴンの放出開始温度は膜の硬度及びヤング率が高いほど高くなり、アルゴンの放出後に膜の硬度とヤング率が大きく低下した。硬度及びヤング率の高い膜はネットワーク構造が密なので、アルゴンの放出開始温度も高くなり、アルゴンの噴出に伴う膜の硬度及びヤング率の低下や膜組織形態の破壊も著くなるものと考えられた。一方、硬度及びヤング率の比較的低い膜ではネットワークの網目サイズが小さすぎないため、アルゴンの放出による硬度及びヤング率の低下も少なく、膜表面の破壊も起こらないことが分かった。従って、加熱後に膜表面の破壊も起こらず硬質炭素膜の硬度を保った耐熱性炭素保護膜を作製するためには、硬質炭素膜のネットワーク網目サイズが放出されるフラグメントの分子サイズに対して適当であれば良いことが分かった。膜の作製に時間が取られたため膜の耐スパッタ特性については十分な検討ができなかったが、アルゴンスパッタによる膜厚の減少は認められなかった。
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