多孔体表面燃焼バーナーの燃料過濃燃焼による炭化物合成に関する研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10650743
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 板谷 義紀 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50176278)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 森 滋勝 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90024306)
• Keywords: 燃焼合成 / 多孔体バーナー / 炭化ケイ素 / 予混合燃焼 / 燃料過濃燃焼 / ハニカム / メタン-空気燃料 / 素反応モデル解析

Research Abstract

多孔体表面燃焼バーナーは、多孔体表面近傍に広い火炎面を形成し広範囲で安定燃焼を行うことができる。このような性質利用して、燃料過濃の高当量比で高温燃焼を行わせることにより炭化物の燃焼合成が可能になる。本研究では、メタン、プロパンまたはアセチレンなどの気体燃料の純酸素または超高温空気燃焼による燃料過濃条件下で高温燃焼を行い、珪砂、石英ガラス、石炭灰などから炭化ケイ素を合成するプロセス開発を目的として、本年度はまず多孔体表面燃焼装置の燃料過濃領域における燃焼性能試験を行った。その結果、以下の知見が得られた。
1) 石英ガラス製円管底部にコージライト系セラミックスハニカムを設置した表面燃焼多孔体バーナーを試作した。この燃焼器下部より供給されたメタン-空気系予混合気にハニカム表面で着火後、徐々に燃料と空気混合比を変化させつつ可燃範囲を実測したところ、本実験条件の範囲では逆火は生じず、当量比で1.7まで燃焼することが確認された。また、空気中酸素濃度が40%程度まで酸素富加することで、当量比2.0以上まで可燃範囲が拡大することが明らかとなった。さらに当量比2以上ではすすの生成が認められた。
2) 1.5以下の比較的低当量比では、火炎はハニカム表面に付着した短炎が形成されるのに対して、燃料比が大きくなるに伴い火炎長が徐々に長くなる傾向が見受けられた。また、ハニカム表面温度は操作条件に大きく依存し、本実験範囲では最大1500Kまで達した。
3) 31種類の化学種を考慮に入れた素反応モデルに基づく反応速度論ならびに平衡論的解析より、当量比2.0以上で、極めて高い還元雰囲気が得られ、二酸化ケイ素から炭化ケイ素合成への可能性が示唆された。