1999 Fiscal Year Annual Research Report
EPAおよびDHAを含む構造脂質の栄養生理作用の解明
Project/Area Number |
10660126
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
池田 郁男 九州大学, 農学部, 助教授 (40136544)
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Keywords | エイコサペンタエン酸 / ドコサヘキサエン酸 / 構造脂質 / トリアシルグリセロール / トロンボキサン / アラキドン酸 / アザラシ油 / 魚油 |
Research Abstract |
外因性高コレステロール血症ラットにアザラシ油あるいは魚油を含む高コレステロール食を長期(160日間)摂取させ、影響を調べた。血清脂質濃度はアザラシ油および魚油摂取により低下したが、両油間での違いは見られなかった。肝臓、血小板、大動脈リン脂質中のアラキドン酸含量は、両油群で低下したが、アザラシ油群のほうが、魚油群よりも有意に低かった。一方、n-3系多価不飽和脂肪酸含量は高い傾向にあった。一方、肝臓トリグリセリドのn-3系脂肪酸の割合はアザラシ油で魚油の約1/2であった。コラーゲン刺激をかけた血小板でのトロンボキサンA2産生量は、アザラシ油群で魚油群よりも有意に低かった。しかし、動脈硬化症の程度には差がなかった。一方、動脈硬化を容易に発症するアポリポたんぱく質E欠損マウスにおいては、血漿、肝臓脂質濃度にアザラシ油および魚油の効果の違いは認められなかったが、肝臓リン脂質中のアラキドン酸含量はアザラシ油摂食群で低かった。なお、本実験条件下では、動脈硬化症の進展は認められず、アザラシ油、魚油の効果は現れなかった。これらのことから、すくなくともアザラシ油では魚油よりも臓器組織のアラキドン酸含量を低下させ、アラキドン酸由来エイコサノイドの産生抑制的に作用すると考えられ、動脈硬化抑制的に作用する可能性が考えられる。したがって、さらに実験条件を設定すれば、動脈硬化抑制作用にも違いが現れると考えられる。
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Research Products
(1 results)