1998 Fiscal Year Annual Research Report
地域食品加工業の持続的「再構築」と地域農業振興に関する実証的研究
Project/Area Number |
10660214
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
白武 義治 佐賀大学, 農学部, 助教授 (10192121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 諭 九州大学, 農学部, 教授 (70038313)
細野 賢治 九州共立大学, 経済学部, 講師 (90271428)
宮崎 卓朗 佐賀大学, 経済学部, 助教授 (50209889)
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Keywords | 食品加工産業 / 酒造業 / 豆腐製造業 / 野菜漬物製造業 |
Research Abstract |
平成10年度は、全国的な食品加工産業の動向を知る情報収集のため関連する行政機関や統計機関における聞き取り調査及び資料収集を主体に行った。そして、主として文献的研究及び大量データの統計的処理によって、我が国の食品加工業の発展段階とその到達点を検討した。しかも、特に我が国の酒造業、豆腐製造業、野菜漬物製造業における(1)各原料の国内生産の現状と生産動向及び国内産や国外産原料の調達方式、(2)当該原料価格の決定方式及びその価格水準、(3)各食品の製造加工の工程と技術及び製造加工形態、(4)流通チャネル及び形態・運送保管の技術段階、(5)加工食品の価格形成の方法及び価格水準、(6)加工食品の年令別所得階層別地域別の消費動向などにおける特徴及び問題点を検討した。さらに、その酒造業、豆腐製造業、野菜漬物製造業の立地条件やその展開条件などの検討を通し、食品製造業の立地形成の地域的条件を考察した。本研究は4人の研究者による共同調査研究のスタイルをとったため、以上のような諸点に関する研究のなかで、初年度は文献的研究に基礎をおいた研究会も月1回ペースで行い、研究課題のさらなる限定と具体化を同時に図った。そして次の点などを再確認した。まず、我が国の食品加工業とその担い手製造業者は、その立地風土に根ざして地域で培われてきた製造技術を駆使し、原材料として地元産農産物の有効利活用を行い、地域住民へ豊かな食材を提供してきた事、しかも、地域経済との深いかかわり合いを持って多様に進展してきた事である。しかし、1980年代半ば以降、海外への加工資本輸出が進み、海外産農産物を原材料に海外で半加工・加工を行った多様な食品を逆輸入する食品加工業者が増大してきた事である。一方、これまで食品の加工・流通過程を担ってきた多くの中小零細企業の再編「合理化」が急速に促進されつつあり、食品加工業において大きな構造変化がみられつつある事などである。
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