1998 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期アジア・中東における農村の組織化過程-国民国家形成の歴史的前提
Project/Area Number |
10660221
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松本 武祝 神奈川大学, 経済学部, 助教授 (40202329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 隆 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20187371)
後藤 晃 神奈川大学, 経済学部, 教授 (70012987)
中村 平八 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10078280)
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Keywords | 農村組織化 / 国民国家形成 / 戦間期農業 |
Research Abstract |
本研究は、植民地・従属国を対象として、戦後の国民国家諸制度の形成過程を念頭に置きながら、戦間期における農村の組織化過程の特徴を比較史的な視点から分析することを目的としている。対象地域は、朝鮮・インド・中国・トルコの4地域とした(当初エジプトも対象地域としていたが、担当予定者の死去により除外することとした)。 本年度は、以下のような研究作業を行なった。 1) 共同研究者各自が図書館など文献資料を収集し、担当地域の戦間期農業に関する研究史の整理を試みた。 2) インド・中国に関しては、外部の研究者から、研究史および研究方法に関するレビューを受けた。 3) 8月以降、毎月ほぼ1度のペースで研究会をもち、各自の研究の進捗状況に関して打ち合わせを行なった。 その結果として、次のような知見が得られた。 1) 比較史的な視点から分析を行なう際には、植民地と従属国との違いという座標軸とともに、農村社会の構造の相違という座標軸も設定する必要がある。 2) 農村社会構造を比較する際には、いわゆる村落共同体の性格あるいは在地有力者の存在形態などが重要な視点となる。 3) 農村の組織化を行なった「国家」権力側の特徴点を性格づけるのに有力な視点に関しては、今年度の段階では充分に整理がつかなかった。次年度の重要課題としたい。 4) 朝鮮に関しては、1930年代以降に植民地権力による強力な農村組織化が進展し、それが解放後韓国の「権威主義体制」を形成するひとつの基盤となったと考えられる、という見通しが得られた。
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