2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10660221
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
松本 武祝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40202329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 晃 神奈川大学, 経済学部, 教授
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Keywords | 戦間期 / 植民地・従属国 / 国民国家形成 / 農民組織化 |
Research Abstract |
両大戦間期において、アジア・中東地域では工業と都市化がその緒につくとともに、農業・農村問題が顕在化していった。当該地域の国家権力は、植民地権力であれ、従属独立国であれ、人口の圧倒的部分を占める農民を統合するための諸制度を制定し、農民の国家による組織化を試みた。そしてそれらの制度は、結果として、戦後における国民国家の枠組み形成に決定的な影響を与えていったと考えられる。 本年度は、植民地であった朝鮮と従属独立国であったトルコ・イランを研究対象として取り上げた。研究実績としては、 1)研究会を開いて、各自の研究成果を報告しあった。 2)朝鮮に関しては、現地(韓国)での補足調査を行なった。 3)報告書の作成に向けて、各自が報告論文の執筆に当った。 以上の作業を経ることによって、以下のような論点が明確になった。 1)イランにおいては、1906年立憲革命後も国家権力は地方に対する直接支配は行なわれず、それ以前と同様に、地方都市在住の大地主による農村社会の政治的・経済的な支配が続いた。農業余剰は、地主層を介して輸入代替工業部門に投資された。 2)トルコでは、1923年共和国成立期に農民の自作農化が進展し、以後、協同組合などを介した国家による農民の掌握が進んだ。工業部門への投資の原資は、農業部門よりもむしろ都市商業部門において確保されていった。 3)植民地朝鮮では、伝統的な地方有志層が農村社会の中で影響力を保持し続ける一方で、新たに学歴を得た階層が地方の末端行政を担当するなどして発言力を強めてゆくことになった。
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Research Products
(2 results)