1998 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ植物根周辺土壌水の塩分濃度変化について-マングローブ植生修復の基礎
Project/Area Number |
10660249
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石原 邦 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70014925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)
和田 義春 宇都宮大学, 農学部, 講師 (80201268)
三浦 邦夫 宇都宮大学, 農学部, 講師 (30091953)
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Keywords | マングローブ植物 / 根域土壌 / 地下水 / メモリー塩分計 / 塩分濃度 / 植生修復 |
Research Abstract |
本研究の目的は汽水、海水域に生育するマングローブ植物根城の水の塩分濃度を調査し、マングローブ植物が吸収している水は陸地から海に直接流入する地下水によって薄められた海水であることを実証することにある。 この目的を達成するためには、根域近くの水の塩分濃度を連続して長時間測定する必要がある。この目的にあった超小型メモリー水温塩分計(アレック電子株式会社製MDS-CT)を購入したが、この水温塩分計は中心から直径10cmは水溶液に満たされていないと正確な測定値が得られないと言う性質を持っているといわれている。従って本年度はこの計器を使って、従来から研究を行ってきた西表島北東部ナダラ橋近くの海水域に生育するヤエヤマヒルギの根域土壌の水の塩分濃度を測定することを試みた。 種々工夫をこらし、何回か試行錯誤を行った後、側壁に直径2cmの穴を沢山あけた直径7. 5cm、長さ1mの塩ビ管をヤエヤマヒルギの根域の土壌中に深さ80cm埋め込んだ。この塩ビ管の深さ60cmの中央に水温塩分計のセンサーがあるように設置し、潮の干満を考慮しながら、1分間隔で12時間あるいは24時間連続して測定した。 その結果、同時に時々測定した電気伝導度計(TOA)の塩分濃度と常に等しい値が得られ、この方法により水温塩分計によって塩ビ管内の海水の塩分濃度を正確に測定できることがわかった。さらに、潮が満ちているときには塩ビ管内の海水の塩分濃度は3.0%以上であるが、潮がひいているときには2.7〜2.8%に低下することがわかった。潮がひいているときには塩分濃度が低いということは、塩ビ管の中に塩分濃度の低い水が流れ込んでいることを示している。この水は最初に述べた陸域から海に直接流入している地下水である可能性は十分考えられる。来年度は、さらに天候とくに降水量などを考慮しつつ100日以上の長期間連続して測定し、上述の可能性を検討する所存である。
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[Publications] Hirasawa,T.et al.: "Effects of preflowering soil moisture deficits on dry matter production and ecophysiological characteristics in soybean plants ander well irrigated conditions" Plant Production Science. 1・1. 8-17 (1998)
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[Publications] 石原邦他: "ヤエヤマヒルギの塩類濃度に対する反応と180同位体比からみた吸収塩類濃度" 第49年会講演要旨集(日本海水学会). 30 (1998)
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[Publications] 板巻有一他: "陸稲の乾物生産過程とくに出穂後の乾物増加量の品種間差異について" 日本作物学会記事. 67・別2. 130-131 (1998)