1999 Fiscal Year Annual Research Report
合鴨雛の耐寒性および水への順応能力に関する行動生理学的研究
Project/Area Number |
10660261
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
萬田 正治 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70048106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 良孝 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (30198147)
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Keywords | 合鴨 / 耐寒性 / 水への順応能力 / 水泳時間 / 行動 |
Research Abstract |
合鴨雛の耐寒性を解明する上での基礎的知見を得るために、環境温度が合鴨雛の体温調節機能の発達および成長に及ぼす影響について検討を行った。試験は5、10、20、25、30、37℃の6水準に設定した恒温室で合鴨雛を0〜4週齢まで飼育し、体温(直腸温)、死亡率、体重、飼料摂取量、血中のホルモン濃度(T_3、T_4およびCTC)、甲状腺および副腎重量を測定した。得られた結果は、以下の通りである。 1.5、10および37℃条件下での合鴨雛の死亡率は、20、25および30℃条件下に比べ高かった(P<0.05)。特に5、10℃条件下の合鴨雛は試験開始から3日以内に全て死亡した。 2.体温については、2日齢まで20℃と25℃条件下での合鴨雛が他の温度条件に比べ低い値を示した。3日齢以降各温度間に差はなく、約2週齢で合鴨雛の体温は成鳥の水準(直腸温約42℃)に達した。 3.4週齢での合鴨雛の体重は、20℃条件下で最も高い値を示し、次いで25℃、30℃および37℃の順であった(P<0.05)。30、37℃条件下では、2週齢以降合鴨雛の増体は抑制された。飼料利用性についても、20℃条件下で最も高く、環境温度が高くなるにつれ低下する傾向がみられた。 4.各温度条件下における合鴨雛の血中T_4(甲状腺ホルモン)およびCTC(副腎皮質ホルモン)濃度に差はみられなかった。T_3(甲状腺ホルモン)濃度ついては、20、25℃条件下の合鴨雛が 30、37℃条件下に比べ有意に高い値を示した(P<0.05)。 5.甲状腺重量については、各温度間に差がみられなかったものの、20、25℃での合鴨雛の副腎重量は30℃条件下に比べ大きかった(P<0.05)。 以上のことから、20〜37℃条件下で飼育した合鴨雛は約2週齢で恒温性を獲得することが明らかになった。また、合鴨雛の最適な育雛温度は0〜2週齢までは30℃、2週齢以降は20℃である可能性が示唆された。
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