1998 Fiscal Year Annual Research Report
高悪性度胃リンパ腫の遺伝子学的解析-組織発生と芽球化を中心に-
Project/Area Number |
10670170
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
北條 洋 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (90209213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 直哉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50227922)
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Keywords | 胃リンパ腫 / びまん性大細胞型Bリンパ腫 / 免疫組織化学 / somatic mutation / polymerase chain reaction (PCR) |
Research Abstract |
胃原発7例を含む節外性35例と節性40例のびまん性大細胞型Bリンパ腫(DLBL)について免疫組織学的、遺伝子学的検討を行った。75例の年令は11-90才(median:69才)、男女比は1.4である。DLBLの組織亜型はcentroblastic 57例、Burkitt-like 4例、immunoblastic 7例、T-cell or histiocyte-rich 3例、anaplastic large B cell 4例で、胃原発7例はcentroblastic 5例、immunoblastic 1例、anaplastic large B cell 1例ある。免疫組織学的に全例にCD20陽性でCD5、CD10,CD21,CD23、CD30、IgDはそれぞれ5%、12%、2%、8%、15%、16%に認めた。PAX5、bc12、bc16は99%、83%、69%に陽性で節外性と節性に差異はなかった。MIB1、p53、MDM2、p21、p27の陽性率を便宜的に5つのGrade(G0;0%,G1;few cells positive,G2,<10%,G3;≧10%,G4;≧50%)に分けるとMIB1はG4が88%で、cell cycle関連遺伝子蛋白(p53、MDM2、p21、p27)の高発現(G4)は全体の25%に認められたが、節外性と節性を比較してもGradeの頻度に差はなかった。G3以上例はp53が41%を占め、MDM2は9%、p21は18%、p27は24%であった。p21がG3以上の群はG2以下の群に比してMDM2とp27の陽性群(G3以上)が多く、MDM2とp53の関係も同様で、統計学的に有意の差を示した。cell cycle関連遺伝子の複合的異常がDLBLの増殖や発症に関わる可能性が示唆され、予後の関連についても検討中である。p53陽性/p21陰性群は14例で2例でexon7、8にmutationが認められ、他の症例でも解析中である。胃原発2例を含む節外性13例と節性21例の免疫グロブリン重鎖遺伝子のsomatic mutationを検討するとaverage mutation frequency(AMF)は低悪性度MALT型リンパ腫の8.6%(range;6.1-11.6)と比較して多彩で、節外性は13.65%(range;4.08-26.35)、節性は9.29%(range;0.68-25.69)を示した。胃原発2例は6.25%、13.61%であった。また、AMFはより節性に低く、4.0未満例も節性にのみ5例認めた。現在、胃原発症例を増やし高悪性度群非MALT型リンパ腫、ならびに低悪性度MALT型リンパ腫併存例についてその生物学的特徴を検討している。
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