2000 Fiscal Year Annual Research Report
高悪性度胃リンパ腫の遺伝子学的解析-組織発生と芽球化を中心に-
Project/Area Number |
10670170
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Research Institution | Fukushima Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
北條 洋 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (90209213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 直哉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50227922)
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Keywords | 胃リンパ腫 / 免疫組織化学 / 免疫グロブリン重鎖遺伝子 / somatic mutation / PCR |
Research Abstract |
低悪性度MALT型リンパ腫(L-MALT)と高悪性度群MALT型リンパ腫(H-MALT)併存11例について免疫グロブリン重鎮遺伝子可変域のsomatic mutation(SM)を比較検討した。9例ではパラフィン切片各10枚よりそれぞれの腫瘍部分を削り取り、DNAを抽出後、PCR法を用いSMを検出した。2例ではパラフィン切片材料に加え各部分の凍結材料についてclonality、SMの頻度などを比較検討した。 パラフィン切片材料ではL-MALT部分、H-MALT部分各1例のみSMが検出された。H-MALT部分mutation frequency(MF)は14.3%、L-MALT部分は7.6%であった。凍結材料をの2例中1例でL-MALTとH-MALTのSMを比較検討が可能であった。L-MALTとH-MALTのgermlineはそれぞれV3-48(DP-58)、V3-66(8-1B+)でMFはL-MALTで13.2%、H-MALTは8.7%を示した。Replacement(R)/silent(S)はL-MALTでCDR2とFW3が1.3、2.0、H-MALTではCDR2、FW3は2.3、4.0であった。L-MALTとH-MALTのCDR1-3、FW2,3の塩基配列は異なり、特にCDR3の塩基配列に相同性は全く確認されなかった。L-MALTとH-MALTのclonalityは異なると判断された。 2001年に改訂の新WHO分類ではH-MALTはDLBCLに統一されることとなった。しかし、H-MALT部分とL-MALT部分のclonalityに相対する報告があり、これは胃発生のDLBCLにL-MALTのtransformとdenovo発生があることを示唆すると理解される。H-MALTにはcombined typeとdiscrete typeがあり前者はL-MALTの像が混在したものでtransformationが推測されるが、このtypeも予後不良とする意見があり治療戦略を考える上でclonalityの検討は今後も重要と思われる。
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