1998 Fiscal Year Annual Research Report
巨核球の分化機構-巨核球のトロンボポエチン受容体の局在と超微細胞形態
Project/Area Number |
10670195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹下 剛 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10107667)
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Keywords | 巨核球 / 分化 / トロンボポエチン / 免疫電顕 / C-Mpl / 金コロイド法 |
Research Abstract |
一昨年入手したヒトc-MPL(TPOの受容体)に対する抗体(mono-1)を使って、ヒト巨核球のc-Mplの局在を免疫電顕による手法で検討した。当初は、ヒト末梢血から得たCD34陽性細胞を、TPO添加で培養し巨核球が増加する11日目頃にこれを回収し、免疫電顕に供した。この結果は、preembeddingのABC法よりもpostembedding法の金コロイド法の方が、微量物質の局在は正確に判断できると分かり、それ以後は、もっぱらpostembedding金コロイド法を実施した。技術習得のために陽性コントロールとしてT-33株細胞、HEL株細胞、さらにはヒト末梢血から回収した血小板をLR-White樹脂包埋(硬化剤無添加)し、そのつど、巨核球に特異的なP2抗体及び上記のmono-1抗体を用いて、種々の工夫をくりかえして金コロイド法を実施した。技術的検討の結果は、以下のごとくである。 1. p2抗体処理したHEL細胞の場合、細胞質の顆粒状物質および核膜周囲腔に金コロイド粒子が特異的に吸着した。血小板糖蛋白(GPIIblIIa)の局在を示すと判断される。 2. 血小板でも、アルファー顆粒にp2抗体陽性を示す金コロイドが特異的に吸着した。 以上から、p2抗体を用いた金コロイド法は技術的に達成できたと思われる。 3. mono-1抗体を用いて、HEL株細胞、血小板のpostembeddingの金コロイド法を行った結果は、現在までのところ施行回数が少なく、結論が出ていない。mono-1抗体に関しては種々の工夫が必要と思われるので、光学顕微鏡による免疫染色との同時比較から再検討すべきと考えている。 4. LR-White樹脂包埋の技術に関しては、硬化剤を使用しないで、摂氏38度で1週間インキュベートしたところ、細胞形態保存は少し改善された。しかし、無酸素状態で処理することでさらに改善されると思われるので、現在この方法を検討中である。
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