1999 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御関連因子の気道内局在とその法医病理学的意義-特に乳幼児突然死を中心として
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10670394
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
津田 亮一 長崎大学, 医学部, 講師 (20098875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折原 義行 長崎大学, 医学部, 講師 (70264215)
中園 一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (30108287)
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Keywords | 乳幼児突然死 / 感染 / 肺 / 血管内皮細胞 / フォン・ビルブラント・ファクター / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
von Willebrand Factor(vWF)は細胞接着因子の1であり,血管内皮細胞で合成され,機械的な刺激やエンドトキシンなどによりvWFの生合成が増加すること,また臨床的にも重症の感染症において,血清中にvWFの有意な上昇が認められ,感染の重症度の診断に利用できるという報告がある.そこで,このvWFが乳幼児急死例における呼吸器感染の診断マーカーとして利用できないかと考え以下の研究を行った.【材料及び方法】対象:当教室で剖検した乳幼児急死24例(男9例,女15例).組織標本は,左肺下葉及び右肺中葉より組織片を採取し,パラフィン包埋後切片を作製した.vWFの発現の局在は,抗ヒトvWFモノクローナル抗体(DAKO)を用いた免疫組織化学染色法(PAP法:DAKO)にて行い,各症例の組織標本における血管の内皮細抱におけるvWFの発現状態並びに染色性を検討した.【成績及び結果】1)剖検時の微生物検査などで感染症と診断された7例では,諸処の血管内皮細胞にvWFの強い発現が認められた.2)LF陽性率などで感染症と判断された10症例では,7例にて前記1)と同様のvWFの強い発現が認められた.しかし,3例では染色性及び陽性細胞数に減弱が認められた.3)LF陽性率で感染症が否定的で,好中球エラスターゼ(N-Elと略)陽性率で感染症と判断された5症例では,3例で前記1)と同様の成績であったが,2例で染色性及び陽性細胞数に減弱が認められた.4)LFおよびN-Elの発現状態より感染症が否定的であった2症例で,1例はvWFの発現をほとんど認めなかったが,1例では前記1)と同様のvWFの発現状態であった. 以上の結果より,乳幼児急死例の血管内皮細胞におけるvWFの発現状態は,好中球LFやN-EIと同様に呼吸器感染症の診断マーカーになるものと考える.
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