1998 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞の早期診断マ-カ-としてのアポト-シスの検索及び死後経過による影響の検討
Project/Area Number |
10670397
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
的場 梁次 大阪大学, 医学部, 教授 (20107056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中留 真人 大阪大学, 医学部, 助手 (90263251)
前野 善孝 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (00145749)
岩佐 峰雄 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (00021452)
|
Keywords | 心筋梗塞 / 早期診断マ-カ- / アポト-シス |
Research Abstract |
今年度は主に、動物実験に入る予備段階として、法医解剖症例における心筋細胞のアポト-シスについて検索を行ってきた。その結果、急性心筋梗塞症例においては(5症例)死後24時間以内であれば梗塞領域にTUNEL陽性細胞やDNAの断片化(ゲル電気泳動による約180bpごとのDNAラダ-パタ-ン)が認められ、薬物中毒による突然死症例でも(1症例)、細動脈周囲などにTUNEL陽性細胞を認めるものもあった。一方窒息死やその他外因死症例においては(20症例)、心筋細胞のアポト-シスを検出することはできなかった。これらの知見から、虚血や梗塞による細胞死には、ネクロ-シスのみならずアポト-シスも関与している可能性があり、アポト-シスという事象が心筋梗塞の早期診断マ-力一となりうることが示唆された。しかしながら、死後24時間を越えると死後変化が重複してくるために、免疫組織化学的検索は非常に困難となり、法医解剖診断に適用するにはこれらの問題を克服しなければならない。また、薬物(覚醒剤)により心筋細胞のアポト-シスが誘導されるという説を支持する知見も得られたことは興味深い。今後の研究の展開としては、開胸下にラット冠動脈を結紮することで虚血による心筋梗塞を作成し、結紮時間や再灌流による影響の変化、死後経過時間による所見の変化等を正常部と対比させて、光顕や電顕を含めた組織学的方法と共に、アポト-シスを確認ずるためのTUNEL法や免疫組織化学的手法を用い検討する。
|