1999 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞の早期診断マーカーとしてのアポトーシスの検索及び死後経過による影響の検討
Project/Area Number |
10670397
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
的場 梁次 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20107056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中留 真人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90263251)
前野 善孝 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (00145749)
岩佐 峰雄 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (00021452)
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Keywords | 心筋梗塞 / 早期診断マーカー / アポトーシス |
Research Abstract |
法医解剖例において認められた心筋梗塞例7例及び対照群としてその他の死因例13例の計20例について、心臓の組織標本を作製し、TUNEL法によるアポトーシスの検索を行ったところ、心筋梗塞7例中4例(陽性率57%)に梗塞部を中心としてアポトーシス像が認められた。なお、残る3例については陰性であったが、法医解剖の際には死後経過時間の長いものも認められ、その影響の可能性はある。また、その他の死因例13例についても陰性であった。これらの結果から、TUNEL法によるアポトーシス像は心筋梗塞像に特異的に出現するものと考えられ、臨床あるいは解剖例における心筋梗塞の早期診断に応用可能であることが示唆された。さらに、ラットを麻酔下に開胸し冠動脈(前下行枝)を結紮、一定時間後に再灌流を行い心筋梗塞を作製、その後心臓を摘出し、TUNEL法及び電気泳動によるDNAラダーパターン検出によりアポトーシスの検索を試みた。結果は、25例中殆どの症例にTUNEL法によりアポトーシスを認めた。特に結紮時間30分、再灌流時間60分・90分のものが最も強いTUNEL陽性像を示し、アポトーシス発現に関して考察するうえでたいへん興味深い知見を得た。また、DNAラダーの出現に関しては明らかに認められたものは、結紮時間30分、再灌流時間60分の1例のみであり、これはアポトーシスを生じた細胞の量的問題が関与しているのかもしれない。一方、アポトーシス抑制遺伝子Bcl-2のmRNA発現量について、半定量的RT-PCR法を用いて検討したところ、結紮時間30分で再灌流させた場合の経時的なBcl-2 mRNAの発現量は殆ど変化がないことが判明し、この結果からBcl-2は常に同じ活性レベルでアポトーシスを抑制しつつも、他方でアポトーシスを誘導する因子の活性がそれを上回るため、アポトーシスの進展が生じている可能性が示唆された。
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[Publications] Maeno Y.: "Influence of methamphetamine on morphological transition of adult rat ventricular cardiomyocytes in culture"6^<th> Indo Pacific Congress on Legal Medicine and Forensic Sciences. 412-415 (1999)
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[Publications] Koyama H.: "Effects of paraquat on isolated adult rat cardiomyocyte"6^<th> Indo Pacific Congress on Legal Medicine and Forensic Sciences. 416-419 (1999)
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[Publications] 的場梁次: "法医学から見たSIDS"小児内科. 30. 453-457 (1998)
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[Publications] 的場梁次: "覚醒剤中毒とその対応"総合臨床. 47. 1007-1008 (1998)
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[Publications] 中留真人: "ラット梗塞心筋におけるアポトーシス関連遺伝子Bcl-2 mRNAの解析"DNA多型. 8(印刷中). (2000)