肝癌におけるHBV-DNA組み込みの意義とその肝癌発生へ至るまでの分子機構の解明

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10670451
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 横須賀 收 千葉大学, 医学部, 講師 (90182691)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 川居 重信 千葉大学, 医学部, 助手 ; 今関 文夫 千葉大学, 医学部, 講師 (40223325)
• Keywords: 肝癌 / B型肝炎ウイルス / HBV DNA / 組み込み / 発癌 / 分子機構

Research Abstract

本邦における肝癌発生と肝炎ウイルス感染とは密接な関連を有している。本研究では肝癌発生におけるHBVの関与について、特にB型及びC型肝癌におけるHBV-DNAの組み込みの有無とHBV-DNAの組み込みから発癌に至る分子機構の面から明らかにしたい。本年度の研究において、我々はAlu-HBVPCR法を用い、これまで凍結保存しておいた肝癌患者の癌組織におけるHBV-DNAの組み込みの有無について検討した。また通常のHBVのPCR法により、組織中のHBV-DNAの存在の有無について検討した。その結果、B型肝癌では全例でHBV-DNAの組み込みが見られることを明らかにした。一方、C型肝癌では極く一部の症例を除いては一般にHBV-DNAの組み込みはみられないことを明らかにした。また通常のHBV-DNAについての検索から、HBV-DNAそのものは約半数のC型肝癌において検出されることを明らかにし、B型肝炎ウイルスはC型肝癌では組み込みの形をとらずにフリーの状態で存在している可能性が高いことを指摘した。
今後、HBV-DNAの組み込みを有するB型肝癌については、Fusion proteinのmessageの検討からヒト遺伝子側の因子について解明したい。さらに肝癌部、非癌部における各種mRNAの量的、質的検討により、HBV-DNA組み込みから肝癌発生に至る分子機構について明らかにし、肝癌の発生予防への対策に貢献したい。

Research Products

• [Publications] Kawai S: "Quantitation of hepatitis C viras by Tag Man PCR" J. Medical Virol. (印刷中). (1999)
• [Publications] Honda A: "Detection of mutations in the enhancer 2/cone promoter region of HBV …・" J. Medical Virol. 57. 337-344 (1999)
• [Publications] Yokosuka O: "Spontameous resolution of hepatitis C viremia is a rare event in type C chromic liver disease." J. Hepatol. (印刷中). (1999)