1998 Fiscal Year Annual Research Report
迷走神経による血中消化管ホルモン認識:胃におけるホルモン認識と肝神経の連関
Project/Area Number |
10670460
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中林 肇 金沢大学, 保健管理センター, 教授 (20019988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 淳 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (70262574)
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Keywords | 迷走神経 / 胃 / ソマトスタチン / 神経化学受容機構 / 肝迷走神経機構 |
Research Abstract |
膵・消化管ホルモンは,門脈中に放出され一度肝を通過して後,標的器官に作用すると考えられている.しかし我々は膵・消化管ホルモンが肝・門脈領域において迷走神経肝臓枝により感知され,この求心性情報が中枢神経系に伝達され,さらに遠心性情報となって腹部内臓機能を制御する機構の存在につき検討を加えてきた.事実,脳腸ホルモンの一つであるsomatostatin(SS)が門脈内に出現すると,迷走神経肝枝の求心性活動が増加すること,また免疫組織学的に肝内門脈内皮直下にSSを選択的に捉える神経小体が存在しその中には求心性神経線維があることを見いだした.最近になり,我々はSS分泌器官の一つである胃の静脈系について,ラット胃底腺域の特定部位にSS受容体陽性神経線維を含有する神経小体の存在を見出した(論文投稿準備中).さらにこの特定部位の漿膜下にSSを局所注入すると,胃迷走神経の求心性活動が増加し,同神経の遠心性活動が減弱すること(広義のEnterogastrone効果)を明らかにした(論文投稿準備中). そこで本年度はさらに検討をすすめ,1)予め迷走神経肝枝を選択的に切断しておくと,上述の特定部位における胃迷走神経系によるSS認識の感度は著しく増幅されるともに,胃迷走神経の遠心性活動への影響も明らかに変化するという興味ある事実を見出した(論文投稿準備中).2)現在,迷走神経肝枝および胃枝に求心性電気刺激を加え,胃迷走神経の遠心性活動にいたる経路につき検証中である.
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