1999 Fiscal Year Annual Research Report
CGHを用いた消化器腫瘍の遺伝子発現異常について-発癌,転移との関連-
Project/Area Number |
10670492
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土田 信夫 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60089951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常田 陽子 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70305431)
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Keywords | CGH / 消化器腫瘍 / H.pylori / 除菌療法 |
Research Abstract |
胃原発MALToma(low grade)6症例に対しH.pylori(HP)除菌療法を旋行し、6症例全てにおいてHPの陰性化し、内視鏡所見も改善を示したが、組織学的には1症例でMALToma細胞の残存が認められた。内視鏡時に採取したMALToma(low grade)の3症例についてCGH解析を行ったところHP除菌前では13q22-qterにDNAコピー数の増加、l0p11.2 10q11.2に減少を共通にみとめた。HP除菌療法後には1症例においてはDNAコピー数の異常の消失が見られたが、残りの2症例では13q22-qterの異常が残存していた。したがってMALToma(low grade)に対してHP除菌療法が有効で、単独で良好な結果が得られる場合が多いと考えられているが、本研究により、HP除菌後内視鏡所見、組織学所見が改善したにもかかわらず、遺伝子レベルで異常が存在する症例があり、このような症例の今後の経過を観察する必要がある。CGHによる解析結果を悪性度の評価、治療法の選択、予後の判定に応用できる可能性が示された。 CGH法を用いた他の消化器腫瘍での検討については、胃腺腫、H.pylori感染粘膜、大腸ポリープについての検索をすでに開始しているが、まだ症例が少なく、発表には至っていない。今後症例数を増やし検討を続ける予定である。 なお胃原発悪性腫瘍との比較検討のため、37症例の副腎腫瘍、7症例の口腔扁平上皮癌についてのCGH解析をおこないDNAコピー数の増加、減少領域を特定し、前者についてはさらに悪性度、およびホルモン生産能の違いとの関係づけ、論文としてまとめた。
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