1998 Fiscal Year Annual Research Report
原発性大腸癌には発現せず転移性大腸癌に特異的に発現する遺伝子群の同定
Project/Area Number |
10670513
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中村 哲夫 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00221458)
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Keywords | 大腸癌 / サブトラクション / RDA |
Research Abstract |
同一患者(2例)の大腸癌原発巣と大腸癌転移巣よりmRNAを抽出し、RDA法 (PCR法に基ずくRNAのサブトラクション法)を用いて大腸癌原発巣に比し、大腸癌転移巣で発現増強を示す遺伝子群の同定を試みた。RDA法により、大腸癌転移巣で発現増強を示す可能性のある遺伝子、約100種類のクローンが得られ、それぞれの遺伝子配列を決定し、この遺伝子配列に基づいて、遺伝子バンクとの照合 (BLAST SEARCHを使用)により、それぞれの遺伝子クローンの同定を試みるとともに、それぞれの遺伝子に特異的なPCRプライマーを作成した。これら特異的なPCRプライマーを用いて20症例の大腸癌患者の大腸癌原発巣と大腸癌転移巣よりmRNAを抽出しRT-PCRによりそれぞれの遺伝子の発現量を検討した。この結果、全ての症例において、大腸癌原発巣に比し、大腸癌転移巣で5倍以上の発現増強を示す遺伝子が8種類同定された。内4種類は既知の遺伝子であった(1.Sm-like protein,2.guanosine-5'-monophosphate synthetase,3.proton-ATPase-like protein,4.ribosomal protein L14-like protein)。2種類は遺伝子バンクに未登録の遺伝子であり、2種類は遺伝子バンクに登録されている(Cosmid L219のクローン遺伝子、およびBACクローン内16p13染色体上遺伝子)が機能が明らかにされていない遺伝子であった。現在、これら4種類のcDNAをクローン化し、Cos7細胞、および大腸癌株細胞への遺伝子導入によりその機能を解析中である。
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