1998 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠動脈症候群における細胞接着分子の役割-再灌流療法時の接着分子の検討-
Project/Area Number |
10670688
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
上野 高史 久留米大学, 医学部, 講師 (90184952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 久雄 久留米大学, 医学部, 助教授 (50168134)
一木 和也 久留米大学, 医学部, 助手 (00258394)
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Keywords | 急性冠動脈症候群 / 再灌流療法 / 接着因子 |
Research Abstract |
研究の目的 急性期再疎通に成功した急性心筋梗塞(AMI)と不安定狭心症(UA)例において血漿中の可溶性P-,E-,およびL-selectinおよICAM-1を経時的に測定し、心筋レベルの微小循環障害に細胞接着分子機構がどのように関与しているかを検討し、急性冠動脈症候群でありながらAMIとUAという異なる臨床病態をたどる機序に細胞接着分子がどのように関与しているかを検討する。さらにAMIではno-reflow現象の有無に細胞接着分子がどのように関与するかを検討する。対象:AMI(前壁中隔梗塞)とUA(前下行枝が責任病変)にて急性期に再疎通療法(direct PTCA)を施行する症例を対象としたが,平成10年度にこの対象となり得た症例はAMI13例,UA2例であった.その他の症例は既に十分な自然再灌流をしていたものや多枝疾患のため対象となり得なかった.1)冠循環動態の機能的評価:心筋コントラストエコー法(MCE);まず2次元心エコー法を用い、乳頭筋レベルの左室短軸像および心尖部長軸像を描出しビデオテープに記録した。6F冠動脈造影用のカテーテルから超音波ソニケーターにて微小気泡を作成した2mlのIoxaglate 320(Hexabrix320)をまず毎秒1mlにて左冠動脈に注入し、心筋梗塞risk areaを同定。その後再灌流療法としてdirect PTCAを行った.AMI3例の内2例でUAは2例とも冠動脈ステントを挿入した.前例で再灌流には成功し,no-reflow現象は認めなかった.2)左心機能の定量的評価:direct PTCA直後の左心室駆出率はAMI58%,UA68%でAMIでは再潅流療法の効果が確認できた.3)免疫学的酵素抗体法による評価:direct PTCA前の冠静脈洞のP-,E-selectinおよびICAM-1は通常のレベルより高値を示したが,再灌流直後に低下傾向を示した.L-selectinおよびVCAM-1は通常の値を示していた.末梢静脈血のP,E,L-selectinは再灌流後上昇し,7日目まで高値で持続した.
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