1998 Fiscal Year Annual Research Report
小児G型肝炎の分子生物学的研究:ウイルスゲノムと宿主免疫能の解析
Project/Area Number |
10670704
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
須磨崎 亮 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40163050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 陽 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (00159146)
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Keywords | G型肝炎ウイルス / 輸血後肝炎 / 血友病 / 血液悪性腫瘍 / 免疫抑制 / C型肝炎 / G型肝炎 |
Research Abstract |
G型肝炎ウイルス(HGV)感染者の臨床像は無症候性キャリアから劇症肝炎まで多彩であり、ウイルス感染宿主の免疫能が病態の形成に関与していると推測されている。しかし、宿主免疫能がHGV感染に対して、具体的にどのような影響を及ぼしているのか未だ不明である。本研究では血液・悪性腫瘍、血友病など免疫抑制状態にある患者を対象にして、HGV感染の自然歴を検討し、以下の点を明らかにした。1)HGVはC型肝炎ウイルス(HCV)と同じくワラビウイルス科に属するが、HGV感染はHCV感染より自然治癒傾向が強い。2)感染抗癌剤や免疫抑制剤の投与下では、感染治癒の指標とされているHGV-E2抗体の産生は強く抑制され、HGV感染の自然治癒もみられない。一方、これらの治療が終了するとHGV血症が消える例が出現する。3)従来、HGV血症が消えてHGV-E2抗体が産生されると、HGV感染は治癒したと考えられていた。しかし、抗癌剤治療によりHGV感染が再燃する例が存在することから、HGV感染の「治癒後」も体内にHGVは潜伏する可能性がある。4)HGV感染の骨髄移植患者やHIV感染者は対照群に比して強い肝障害が見られたので、宿主免疫能の低下はHGV感染の肝病原性を強める可能性がある。 なお本研究の内容は、血液・悪性腫瘍患者については“Blood,1999:93:721-727,Persistenceand Clinical Outcome of hepatitis G Virus Infection in Pediatric Bone Marrow Transplant Recipients andChildren Treated for Hematological Malignancy.by Maki Yamada-Osaki et al."に、血友病患者については“British Journal of Haematology,1998:102:616-621,Natural course of HGV infection inhaemophiliacs.by Maki yamada-Osaki et al"に発表された。研究の詳細については、これらの文献を参照されたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Osaki,MY,Sumazaki,R et al: "Natural course of HGV infection in haemophiliacs." British Journal of Haematology. 102・2. 616-621 (1998)
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[Publications] Osaki,MY,Sumazaki,R et al: "Persistence and clinical outcome of HGV infection in Pediatric BMT Recipien" Blood. 93・2. 721-727 (1999)
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[Publications] Sumazaki,R,et al: "Transfusion transmitted virus" Lancet. 352・9132. 1308-1309 (1998)
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[Publications] Osaki,MY,Sumazaki,R et al: "Transfusion transmitted virus" Lancet. 352・9132. 1309-1310 (1998)
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[Publications] 大崎牧,須磨崎亮: "免疫抑制状態におけるHGV感染の自然歴" 肝臓. 39・8. 569-572 (1998)
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[Publications] 須磨崎亮 他: "HGV感染症の病態" 小児科診療. 61・12. 2181-2187 (1998)