1998 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能3次元ポジトロンCTを用いた脳ドパミン系神経伝達機能に関する研究
Project/Area Number |
10670856
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑原 康雄 九州大学, 医学部, 助教授 (30150436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 誠 九州大学, 医学部, 医員
藤原 雅人 九州大学, 医学部, 助手 (30304794)
吉田 毅 九州大学, 医学部, 助手 (40284509)
佐々木 雅之 九州大学, 医学部, 助手 (40240907)
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Keywords | ポジトロンCT / 3Dデータ収集 / 脳変性疾患 / 脳ドパミンD_2受容体 / C-11ラクロプライド |
Research Abstract |
本年度は新しい3次元PETシステムが導入されたのに伴い、線条体ファントムを用いて受容体測定の基礎的検討を行い、少数ではあるが、健常者および脳変性疾患患者にも応用した。PET装置はSiemens社のECAT EXACT HR+で、断面内および軸方向分解能はそれぞれ3.6mmと4.2mm、3次元データ収集が可能であり、同時に63スライスの撮像が可能である。線条体ファントムは楕円柱(12.8cm x 16cm x 15cm,短径x長径x高さ,いずれも内径)の中に線条体に模した三角柱(2cm x 4cm x 2.5cm,容積10ml)を2個対称に固定できる構造のものに、濃度の異なるC-11(またはF-18)溶液を封入して用いた。まず、線条体/BG比が3.6と6.8の2つの系を2Dおよび3Dモードで測定したが、前者のRCは78.9%(2D)と84.6%(3D)、後者は71.7%(2D)と80.1%(3D)の測定結果であった。次に10分x5回(2D)と10分x10回(3D)のプロトコールで2Dと3Dの連続ダイナミックスキャンを行い、線条体とBGの放射能濃度を測定した。BGの放射能は2Dと3Dでほぼ同じ測定値を示したが、線条体は3Dの方が7-8%高かった。さらに、線条体にF-18、BGにC-11を封入し10分x10回(3D)のダイナミックスキャンを行い、線条体/BG比の直線性を検討したが、良好な直線性が得られた。また、散乱体を線条体ファントムの近傍に置き、2Dおよび3D収集を行ったが、両者に有意の差はみられなかった。なお、点線源を用いた場合の計数効率は3Dで4.4%、2Dでは0.6%であり、3Dは約8倍の感度があった。以上より、3Dデータ収集の定量性および感度はほぼ満足のいくものであり、健常者7名および脳変性疾患患者4例のC-11ラクロプライドを用いたD2受容体測定に応用し、2Dおよび3D収集のデータを比較した。これらの検討でもファントムとほぼ同等の結果が得られた。来年度はさらに症例を増やし、臨床的有用性を検討していく予定である。
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