1998 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんの難治化に関する研究(難治性てんかんの患者血清中における高分子蛋白質成分が中枢神経細胞の膜電流系受容体に及ぼす作用について)
Project/Area Number |
10670884
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 文裕 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (10281825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 盛夫 北海道大学, 医学部, 教授 (00109422)
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Keywords | てんかん / パッチクランプ / GABA |
Research Abstract |
この研究は、通常の抗てんかん薬による発作の抑制が困難な難治性てんかんの患者血清中に、中枢神経細胞の興奮性あるいは抑制性アミノ酸受容体チャネルに作用する物質が存在するか否かを確認することを目的とする。患者の血清を検体とし、哺乳類の単離培養神経細胞を用いて検体試料が細胞膜上の興奮性あるいは抑制性アミノ酸受容体チャネルに対する何らかの作用を有するか否かを検討する。 本年度は、北海道大学医学部付属病院精神科神経科外来にて加療中のてんかん患者のうち、てんかん類型が明らかで各種抗てんかん薬の治療にも関わらず発作が抑制されない難治性の症例について、本研究の対象となりうる症例を選択した。その上で、明確な同意を得られた症例の一部から血液を採取し、血清成分を分離した検体を得て保存した。今後、対象症例を増やすとともに、得られた検体から限外濾過によりIgG分画を含む高分子蛋白質成分を分離・抽出する予定である。 一方、細胞膜上のイオンチャネルに対する上記患者血清成分の作用をパッチクランプ実験により調べるために、ヒトと同様のイオンチャネルが存在するとされるラットの大脳皮質より単離した神経細胞を培養して用いる予定であるが、本年度はこのラット神経細胞の細胞培養条件を各種変えて最適条件を検討中である。また、ラット単離培養神経細胞とは別に、ラット神経細胞のスライス標本においても同様の実験系が組めるか否かについても検討中である。 また、上記ラソト単離培養神経細胞と、患者血清成分を用いて行うホールセルパッチクランプ法を用いた実験に使用する実験装置の各種設定についても検討を行った。今後は、GABA受容体アゴニストの投与により誘発される電流量が、患者の血清より得られた高分子蛋白質成分の存在下及び非存在下で異なるか否かを検討する予定である。
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