2000 Fiscal Year Annual Research Report
外科侵襲後のhypoxiaにおけるエネルギー危機に対する適応反応-リン代謝の調節
Project/Area Number |
10671105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 芳和 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助教授 (10175614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 利久 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (80224111)
金内 一 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (20242141)
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Keywords | 外科侵襲 / リン排泄 / エネルギー / 副甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
前年度までの研究結果:1)外科侵襲により尿中リン(Pi)排泄は増える.この主な原因は筋蛋白崩壊亢進のためである.2)同時に副甲状腺ホルモン(PTH)のPi利尿作用は低下し,体内Pi貯留がおきる.わたしたちは,「PTH機能の抑制により体内貯留したPiが外科侵襲をのりきるためのエネルギー産生に使われる」と,推測している. 今年度の研究目的:体内貯留したPiはエネルギー産生に寄与するか,これを調べた. 方法:1)体重250gの雄性ラットを使用した.一晩絶食後に開腹侵襲を加えた.術後24時間にわたり10%糖液を輸液し,Pi10mMを添加したグループ(n=10)と無添加グループ(n=9)とで実験終了時の実質臓器中のPiおよびATP含量を調べた. 結果:1)尿中Pi排泄量:Pi添加群で有意に高かった.2)血中Pi濃度:Pi添加群で有意に高かった.3)肝Pi含量:2つの群で差はなかった.4)筋Pi含量:2つの群で差はなかった.5)肝ATP含量:2つの群で差はなかった.6)肝エネルギーチャージ:2つの群で差はなかった. 討論:手術侵襲下にPiを外因性に投与しても実質臓器中のエネルギーレベルは上昇しなかったが,この理由として,このモデルの手術侵襲(30分間にわたり腸管の空気暴露)の程度が少なかった可能性がある. 結論:手術侵襲により尿中Pi排泄が増加し,血中Piレベルが低下するが,このような状況でPiを外因性に投与してもエネルギー産生に必ずしも直結しないことが予測できた.
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