1998 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌患者における脾臓の免疫学的役割の解明-脾細胞のサイトカイン産生能からの検討-
Project/Area Number |
10671167
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤本 敏博 金沢大学, がん研究所, 講師 (00242561)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
O'DONNELL MA ハーバード大学, ベスイスラエル病院外科, 講師
磨伊 正義 金沢大学, がん研究所, 教授 (80092807)
|
Keywords | 胃癌 / 脾細胞 / サイトカイン / Th1 / Th2 / IL-12 / IFN-γ / 担癌状態 / 脾摘 |
Research Abstract |
健常マウス(C57BL/6,Balb/C,C3H)の脾細胞を採取し,Th1 inducerである溶連菌製剤OK-432で刺激培養した際のIL-6,IL-10,IL-12,IFN-γ等のin vitroでのサイトカイン産性能はC57BL/6>C3H>Balb/Cであり,マウスの系により反応性の相違があることが明らかになった。また,B16メラノーマ腫瘍細胞を移植したC57BL/6マウスの系で,担癌状態の脾臓を摘出しサイトカイン産性能を測定したところ,担癌状態の中期(腫瘍移植後2〜3週)でIL-2,IL-4,IL-6,IL-10,IFN-γなどの産性能が増大したが,IL-12産性能は誘導されていなかった。一方、担癌末期になると全てのサイトカイン産生能が低下する傾向にあった。さらに,担癌中期のマウス脾細胞をin vitroでOK-432で刺激するとIL-12産生が誘導できた。マウスに対しin vivoでOK-432を用いて治療した際の抗腫瘍効果および脾細胞のサイトカイン産生に及ぼす影響についての検討は,OK-432の治療時期の検討を含めて現在進行中である。 一方、胃癌患者の脾臓が産生するサイトカインについて,中期癌患者の脾細胞からはサイトカイン産生が得られているが,例えば臨床病期の進んだスキルス胃癌の摘出脾からのサイトカイン産生は低値である,などの知見が得られつつある。また,腹膜再発を防止するために術中腹腔内にMMC,OK-432などの薬剤を投与した症例の,腹腔内に誘導されるサイトカインについても測定したところ,IL-2,IL-12,IL-15,IFN-γなどが誘導されるrespondor症例があり,それらの術後成績が良いという印象を受けている。 以上の結果をまとめて,現在投稿準備中である。
|