1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラット全身性炎症反応症候群(SIRS)における中枢神経系の関与について
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10671177
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
長谷 貴將 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (00198706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 宏 滋賀医科大学, 分子神経生物学研究センター, 教授 (40079736)
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経生物学研究センター, 助教授 (20207533)
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Keywords | c-fos / CNS / SIRS / Rat / CLP |
Research Abstract |
平成10年度において、ラットに全身性炎症反応症候群(SIRS)のモデル(CLP;Cecal Ligation and Puncture,穿孔性腹膜炎)を作成し、抗C-FOS抗体を用いて中枢神経を免疫組織化学染色法で染色したところ、(1)脳室周囲器官(2)視床下部(3)脳幹部(4)大脳辺縁系に陽性反応が認められた。このことから、全身性炎症反応症候群(SIRS)において、視床下部-下垂体前葉-副腎皮質系および視床下部-交感神経系-副腎髄質系のみならず、大脳辺縁系にも神経細胞体の活性化が起こっていることが示唆された。 臨床分野では、穿孔性腹膜炎をはじめ、敗血症を体温、心拍数、呼吸数、白血球の変化から、Systemic Inflammatory Syndrome(SIRS,全身性炎症反応性症候群)として捉える試みがなされている。SIRSの臨床的タライテリアは白血球数、呼吸数、心拍数、体温からなる。このうち白血球数以外の体温、心拍数、呼吸数などのSIRSの指標は、生体の液性、神経性因子脳幹、視床下部機能と関連するため、呼吸中枢、心・血管調節中枢、視床下部・体温中枢に、また、代謝亢進に伴い、交感神経系が活性化することが考えられる。 脳質周囲器官、視床下部、脳幹部および辺縁系に活性化が見られたことにより、SIRSの病態において中枢神経系が大きく関与している可能性が考えられた。脳が神経、内分泌、免疫相関の中心となり、侵襲下に生体のホメオスタシスを維持すべく、中枢神経系に大きな活性の変化が起こっていると考えられる。 平成11年度は、c-fos発現がどのような遺伝子の誘導に関与しているかを検索する予定である。c-fos発現の認められた神経核の位置から、抗利尿ホルモン、副腎皮質ホルモン放出因子、チロジン水酸化酵素、ガンマアミノ酪酸合成酵素などが予想される。これらの候補物質の誘導の有無をin situ hybridizationによって検索する予定である。
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