1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌細胞株の血行性転移における血管細胞増殖因子VEGFの転移障害の研究
Project/Area Number |
10671261
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 敬治 徳島大学, 医学部付属病院, 助手 (60236271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 康正 徳島大学, 医学部, 教授 (60028628)
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Keywords | 肺癌 / macrophage / VEGF121 / VEGF165 / リンパ節転移 |
Research Abstract |
手術時に切除された肺癌手術標本より肺癌内macrophage(TAM)を分離し一部は更にmRNAを分離,一部は培養した。VEGF121とVEGF165のmRNAの発現はRT-PCR法にて測定した。3日から一週間培養したTAMの培養土清中のVEGFの産生量はELISA法にて測定した。VEGF121とVEGF165のmRNAの発現を全肺癌症例の約50%の症例に認めた。VEGFのmRNAを発現していたTAMは全例培養上清中にVEGFを産生していた。一方,VEGFのmRNAを発現していなかったTAMはほとんどVEGFを産生していなかった。VEGFのmRNAを発現していたTAMのVEGFの産生量は3298.1±3859pg/ml,VEGFのmRNAを発現していなかったTAMのVEGFの産生量は3.8±6.6pg/mlであった。更にVEGFl21とVEGF165のmRNAを発現していたTAMの50%はVEGFの産生量が3000pg/ml以上であった。分離直後にVEGF121とVEGF165のmRNAを発現していなかったTAMは3日から一週間の培養後VEGF121とVEGF165のmRNAを発現しなかった。今回の結果でもっとも注目すべき点はこのVEGF121とVEGF165のmRNAの発現をしていた症例は全例リンパ節転移を認めない早期肺癌症例であり,リンパ節転移を認めた症例のTAMは一例もVEGF121とVEGF165のmRNAを発現していなかったことである。以上より,肺癌内TAMは肺癌がリンパ節転移を起こす以前にすでにVEGFを産生しておりこのVEGFが肺癌のリンパ節転移のinitiatorとして機能している可能性が示唆された。今後はマウスの系を用いてTAMの産生するVEGFが肺癌細胞株の転移にどのように関与しているかについて検討していく。
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