1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肺血栓塞栓症モデル動物の肺循環における血管作動性因子の病態解明
Project/Area Number |
10671276
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高森 信三 久留米大学, 医学部, 助手 (50197208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 光介 久留米大学, 医学部, 助手 (40248422)
本田 順一 久留米大学, 医学部, 講師 (30229257)
御船 弘治 久留米大学, 医学部, 講師 (70174117)
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Keywords | 慢性肺血栓塞栓症 / 活性酸素 / ナトリウム利尿ペプチド / アンギオテンシンII |
Research Abstract |
【目的】肺動脈血栓塞栓症の-モデルとしてゼラチンパウダーにて肺動脈を塞栓したモデルを作成し白血球活性酸素産生能の経時的変化と血漿及び肺組織内ナトリウム利尿ペプチド(ANP)濃度及びアンギオテンシンII(AT-II)濃度を測定した。【材料・方法】ビーグル犬6頭を用いて、麻酔下に7Fr Swan-Ganz カテーテルを挿入し、透視下に左肺後葉肺動脈分岐部まで誘導し、ゼラチンパウダー(0.03g/Kg,生食溶解)を注入した。注入前及び注入後1, 3日、1,2,3,4週目に採血し、白血球の活性酸素産生能をルミノール依存化学発光法にて、血漿中ANP,AT-II濃度をRIAにて測定した。また、4週目に犠牲死させ塞栓部及び非塞栓部の病理組織学的検索を行い組織内ANP,AT-II濃度をRIAにて測定した。【結果】病理組織学的に、何れの個体も塞栓部の気管支動脈内に好酸性網状の物質が存在し、血管内皮の損傷が認められた。白血球活性酸素産生能は塞栓後1日目及び2週目に増加していた。塞栓前後の血漿中ANP,AT-II濃度に有意差はなく、非塞栓部の組織内ANP濃度はコントロール(正常犬肺組織)に比べ有意に増加し、塞栓部では有意に減少していた。非塞栓部の組織内AT-II濃度はコントロールに比べ有意に減少し、塞栓部では有意な変化はなかった。【考察】塞栓後1日目の活性酸素産生能の上昇は白血球の上昇を伴い急性炎症反応と考えられたが、2週目の上昇は白血球の上昇を伴わず他の因子の関与が示唆された。また、本モデルの病態において肺組織内ANP及びAT-IIが肺循環における局所因子として関与していると考えられた。
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