1998 Fiscal Year Annual Research Report
海馬顆粒細胞肥大化モデルを用いた中枢神経細胞可塑性増強遺伝子の検索
Project/Area Number |
10671295
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 文夫 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80171247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧浦 弥恵子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90293836)
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Keywords | 神経可塑 / 海馬顆粒細胞 / 分別増殖法 / 神経細胞肥大化 |
Research Abstract |
本研究は、カイニン酸投与により生じる進行性の海馬歯状回顆粒細胞肥大化モデルを用い、神経可塑性に関与する新たな因子を見いだすことを目的とするものである。 カイニン酸をマウス海馬に局所投与し、2週目に肥大化した海馬よりmRNAの抽出を行い、分別増殖法(Differential Display:DD法)を施行した。ゲルより対照とは異なったバンドを切り出し、そのcDNAをクローニングし、塩基配列検索後、Gene bankで調べた。何回か実験を繰り返し、約20種類について異なったバンドが得られた。塩基配列の結果とin situ hybridization(ISH)による検索より、その多くは非特異的であり、また他の多くは既知のものであった。しかし、ISHによる検索で、一つだけ、対照側にも発現するが肥大化側の海馬顆粒細胞と錐体細胞で発現の増強しているものが認められた。この配列検索を行ったところ、相同性の高いcDNAが認められた。しかし、このcDNAはゲノム解析より報告されているものであり、その生理的役割はもちろん、mRNAの発現などについても未知のものであった。そのcDNAを取り寄せ、またわれわれがクローニングしたcDNAの両者よりRNAプローブを作成し、マウス脳についてISHを行ったところ、両者同様の分布で生後早期の中隔野、皮質板より分化過程の大脳皮質神経細胞、海馬錐体細胞で発現の上昇していることが認められた。まだ再現性についての検討が不十分であり、現在もISHやRT-PCR法などで調べているところではあるが、上記の結果は、このcDNAが実際に脳内で必要な物質の産生に関与すること、特に神経細胞自体の分化発達に関連性があることを示唆するものである。 現在、DD法も続行し、さらに新たなmRNAの探究も行っている。
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Research Products
(1 results)