1998 Fiscal Year Annual Research Report
組織修復過程における間葉系幹細胞の起源と役割に関する分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
10671375
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
高井 信朗 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10226730)
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Keywords | 自家骨軟骨移植 / トランスジェニックラット / in situ hybridization / 粘弾性特性 |
Research Abstract |
本は、自家骨軟骨移植モデルとして遺伝子を導入したトランスジェニックラットをdonerに用いて同系骨軟骨移植を行い、生存軟骨細胞の起源を探るとともに軟骨の粘弾性特性の経時的変化から移植軟骨基質の機能の変化について検討することを目的とした実験を行った。実験は、recipientとしてFisher ratを、donorとして構造遺伝子を導入したトランスジェニックラットを用いた。膝蓋大腿関節の大腿骨関節軟骨部に骨軸に垂直方向に骨欠損を作成し同じ大きさのdonor骨軟骨片を移植した。移植後2週、6週、12週に大腿骨を摘出し、微少粘弾性測定装置を用いて軟骨の押し込み試験を行った。測定は、平型インデンターをもちいて時間-変位曲線を得た。軟骨の厚さも測定した。試験後に試料をin situ hybridization法を施行し、組織学的に移植細胞の局在を観察した。また健側の同部位に同様に試験を行って正常軟骨群とした。【結果】平衡時の歪み及び瞬間弾性歪みは、正常軟骨に比し、2週で増加したが経時的に減少した。遅延時間は、2週で短縮したが、経時的に遅延した。また、軟骨の厚さは、各群において有意な差異を認めなかった。組織学的には、donorの軟骨細胞が12週生存していたが、細胞の配列は、正常と異なった。【考察】ラットを用いた同系骨軟骨移植では、移植後2週で軟骨の粘弾的性質が減弱するが、経時的に正常に近づくことが判明した。組織学的には、donorの骨軟骨細胞が12週においても生存していることが、確認され、産生された基質が、donorの骨軟骨細胞が機能的なvariabilityを有し、力学的環境の復元に寄与している可能性があると考える。この実験における結果は、力学的特性の変化については、第23回日本バイオメカニクス学会に於いて報告した。また、力学的特性、組織学的変化及び細胞の由来について、米国整形外科基礎学会(ORS)に於いて報告し、New Ivestigators Recognition Awaradにnominateされた。
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