1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラテント並びに臨床前立腺癌におけるアンドロゲン,ビタミンD受容体遺伝子の多型性
Project/Area Number |
10671461
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 悟 東京大学, 医学部・附属病院・分院, 講師 (50197141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 之夫 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40165626)
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Keywords | ラテント前立腺癌 / 臨床前立腺癌 / アンドロゲン受容体遺伝子 / ビタミンD受容体遺伝子 / マイクロサテライト多型性 |
Research Abstract |
これまでに、75歳以上の他疾患病理解剖にて発見された微小(0.5ml以下)高分化型ラテント前立腺癌20例、並びに臨床的に前立腺癌と診断され根治的前立腺摘除術を施行した限局性前立腺癌(stag B,C)30例においてパラフィン包埋腫瘍標本、並びに同じ患者から得た血液あるいはパラフィン包埋正常組織標本から各々DNAを抽出した。アンドロゲン並びにビタミンD受容体遺伝子の多型性の解析として、FITC蛍光標識microsatellite polymorphic primersにより上述のDNAを用いてPCRを行った。アンドロゲン受容体遺伝子ではexon1におけるCAG microsatelliteを増幅させ、そのrepeat数を計測した。またビタミンD受容体遺伝子では3'-untranslated regionにおけるpoly-A microsatelliteを増幅させ、allele sizeを計測した。その結果、ラテント癌ではアンドロゲン受容体遺伝子におけるCAG microsatellite repeat数:<20の症例が41%であるのに対して、限局臨床癌では56%と有意ではないが多かった。一方、ビタミンD受容体遺伝子におけるpoly-A microsatelliteのallele sizeは、長い方のallele size:>18の症例がラテント癌では72%であるのに対して、限局臨床癌では80%と若干高い傾向を認めた。以上より、臨床前立腺癌はラテント前立腺癌と比較して両受容体遺伝子の多型性に相違を認める可能性が示唆された。また臨床前立腺癌で多く認めた多型性パターンを有する遺伝子の受容体活性は高いことが知られており、これらの受容体遺伝子多型性が臨床前立腺癌の成立に関与している可能性が示唆された。平成11年度はさらに症例を増やし詳細な統計学的解析を行う予定である。
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