2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671576
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 広治 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40247854)
植木 実 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40084892)
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Keywords | ヒト卵膜 / アポトーシス / ネクローシス / 破水 |
Research Abstract |
妊娠12-42週の流早産、人工妊娠中絶、正常分娩、帝王切開術の際に、患者、妊婦から十分に同意を得て得られたヒト卵膜(羊膜、絨毛膜、脱落膜)を用いて、妊娠週数とヒト卵膜におけるアポトーシスの発現および破水の機序について検討してきた。妊娠11-39週までの羊膜細胞の多くははTUNEL染色法で陰性であったが、妊娠40-41週の羊膜細胞のTUNEL陽性率は急激に増加し、妊娠42週では再び減少した。妊娠40-41週において電顕的にも細胞容積の減少、buddingの形成、核クロマチンの凝集を伴うアポトーシスに特有な微細構造を認めたが、電顕滴的にアポトーシス小体やDNAアガロースゲル電気泳動でDNAラダーを見ることはなかった。この時期の羊膜はアポトーシスに陥った羊膜細胞が上皮から羊膜腔に剥脱し、上皮の欠損を生じることが特徴であった。以上の所見は陣痛の有無と相関していなかった。 羊膜上皮細胞に見られるアポトーシスについてはそのシグナル伝達経路は明らかにされていない。平成12年度は各妊娠週数のヒト羊膜を用いてFas,Fas ligandに注目し、下流に存在するcaspase family(特にCaspase 3,8,9)と伴に、それらの発現の変化について検討した。全妊娠週数を通じて羊膜上皮細胞にBcl-2の発現が認められなかったのとは対照的に、FasおよびFas ligand(FasL)の発現ははいずれの週数においても観察された。特にFasLの発現は妊娠末期に強かった。アポトーシスの実行遺伝子蛋白であるcaspase familyのうち、caspase-3,-8,-9の活性については、caspase-3,-8の活性が妊娠末期に上昇したが、caspase-9の活性は全妊娠週数を通じて上昇が認められなかった。また妊娠末期に認められたヒト羊膜細胞のcaspase-3,-8の活性の上昇は、抗Fas抗体処理により誘導されたヒト子宮内膜癌細胞のアポトーシスにおいてcaspase活性パターンが非常に類似していた。すなわち、羊膜上皮細胞に見られるアポトーシスはmitochondrial pathwayでなく、Fas/FasL systemによって誘導されるdeath domain pathwayが主要なシグナル伝達経路と推測される。
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[Publications] K.Kumagai: "Apoptotic cascade in term human amnion : mediated by Fas/Fas system and progressed via caspase 8 and 3 dependent pathway."Mol.Human Reprod.. (2000)
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[Publications] Y.Otsuki: "Review : Various methods of apoptosis detection."Acta Histochem.Cytochem.. 33. 235-242 (2000)
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[Publications] H.Yamashita: "Fas ligand, Fas antigen and Bcl-2 expression in human endometrium during the menstrual cycle."Mol.Human Reprod.. 5. 358-364 (1999)
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[Publications] 大槻勝紀: "総説:アポトーシスとは?"臨床電顕. 32. 5-15 (1999)
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[Publications] 大槻勝紀: "特集:臓器に見られるアポトーシス"電子顕微鏡. 34. 98-101 (1999)
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[Publications] E.Daikoku: "The induction of apoptosis in ovaries and uteri of bcl-2-deficient mice."Med.Electron Microsc.. 31. 68-76 (1998)
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[Publications] Y.Otsuki: "Molecular Histochemical Techniques"Springer-Verlag. 263 (2000)
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[Publications] 大槻勝紀: "臓器別アポトーシス証明法"南江堂. 259 (2000)