1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671597
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
湯本 英二 熊本大学, 医学部, 教授 (40116992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 靖浩 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50206009)
河北 誠二 愛媛大学, 医学部, 助手 (60304606)
兵頭 政光 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (00181123)
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Keywords | 発声 / 声帯振動 / 粘膜波状運動の定量化 / レーザー振動計 / 光グロットグラフィー / 発声時気流量 / 声帯緊張 |
Research Abstract |
声帯振動の本質は、声帯下面から上面外側に向かって移動する粘膜隆起を波頭とする粘膜波状運動である。この粘膜波状運動を定量的に解析するために波状運動の伝播速度(Traveling wave velocity、以下TWVと略す)の測定が試みられてきた。我々はレーザードップラー振動計(以下LDVと略す)を用いて声帯の垂直方向の振動速度(以下、Vvtと略す)と振幅をTWVと同時に記録することによって、TWVとVvtとの関係を検討した。声帯表面の2ヶ所に標識を付けこの2点間の距離と2点間を粘膜波状運動の波頭が移動する時間を測定してTWVを計算した。測定には3個のイヌ摘出喉頭を用いた。喉頭を吹鳴用の木箱に固定し加湿した空気を送気して声帯を振動させた。気流量や声帯緊張を調節することで広い周波数域で声帯振動を惹起させた。声帯を緊張させる前後でそれぞれ気流量を8〜141/分の間で1l毎に変化させた。3個の喉頭ともTWVとVvtとの関係は同様であった。TWVはVvtよりも大きく、両者はともに流量増加に伴って直線的に増加した。声帯緊張を増加した場合も同様であった。TWVとVvtの間には相関係数0.90〜0.98と非常に高い有意な相関がみられた。TWVの測定には声帯粘膜になんらかの標識を置く必要があり、in vivoでは測定が困難である。一方、Vvtはレーザー光を用いるので比較的容易に測定でき、同時に垂直方向の振幅も得られるという利点がある。従って、次年度の研究ではVvtを粘膜波状運動の定量的指標として用いる。さらに光グロットグラフイーから得られる水平方向の振幅と組み合わせてリサージュ波形を描画し、吹鳴条件による声帯振動の変化を解析する。
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[Publications] 門田吉美、 他: "喉頭断層像による片側声帯麻痺の手術適応" 耳鼻咽喉科臨床. 91・6. 631-637 (1998)
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[Publications] 山形和彦、 他: "反回神経麻痺の臨床統計-愛媛大学における過去21年間の検討" 日本気管食道科学会会報. 49・4. 330-336 (1998)
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[Publications] 本吉和美、 他: "両側声帯正中位固定症例に対するEjnell法による声帯外方移動術" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 101・9. 1057-1061 (1998)
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[Publications] Yumoto E,et al: "Pliability of the vocal fold mucosa in relation to the mucosal upheaval during phonation" Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 124・8. 897-902 (1998)
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[Publications] 佐伯克哉、 他: "垂直方向から見た声帯振動の解析" 日本気管食道科学会会報. 49・1. 20-26 (1998)
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[Publications] 小森正博、 他: "甲状軟骨形成術I型施行後に起声時の発生困難を訴えた1例" 耳鼻と臨床. 44・5. 709-711 (1998)