1999 Fiscal Year Annual Research Report
癌増殖調節因子としてのIGF-Iの作用機序の解明と癌治療への応用
Project/Area Number |
10671669
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和佐 勝史 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10240467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40028569)
|
Keywords | IGF-I / 小児悪性腫瘍 / グルタミン / アミノ酸トランスポート |
Research Abstract |
Insulin-like growth factor I (IGF-I)およびIGF-IIはIGF-Iレセプター(IGF-IR)を介して癌細胞の増殖に促進することは広く知られている。一方、癌細胞にとってグルタミン(Gln)の細胞内トランスポート活性を維持することは核酸及び蛋白の合成、エネルギー産生に重要な因子の一つである本研究の目的は小児の悪性固形腫瘍の一つである神経芽細胞腫細胞を用いて、IGF-IRの活性が細胞増殖およびGlnの細胞内トランスポートの維持に関与していることを明らかにすることである。ヒト神経芽細胞腫のcell lineとしてSK-N-SHを用いた。培養液は10%FBS、 2mM Glnを含んだDMEMを用い、5%CO_2、95%Air、37℃の条件下で培養した。細胞を1x10^5cells/ml(100μl/well)の密度で96-well tissue-culture plateに植え、24時間後に抗IGF-IR 抗体(a-IR3)2μg/mlを投与し、1、2、3日後に細胞数をMTT法で測定した。次に、細胞が90%-100%のconfluentを得た後、同量のa-IR3を投与し、24時間後のGlnトランスポートを測定した。その結果、a-IR3投与群では細胞の増殖は非投与群(Control)に比し有意に抑制された。a-IR3投与群におけるGlnトランスポートはControlに比し有意に低値であった(P<0.001)。a-IR3投与群におけるmaximal transport velocity ,VmaxはControlに比し有意に低値であった(P<0.05)。以上より、IGF-IRがGln細胞内トランスポートの維持に関与しており、この機序が癌細胞の増殖に関与している可能性が示された。
|