1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎児の胎外哺育における臓器成熟とその促進に関する実験的研究
Project/Area Number |
10671670
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 克也 神戸大学, 医学部, 助教授 (30135800)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上谷 良行 神戸大学, 医学部, 助教授 (40168620)
尾原 秀史 神戸大学, 医学部, 教授 (80030998)
|
Keywords | 人工子宮 / 膜型人工肺 / ECMO / 臓器成熟 |
Research Abstract |
人工子宮により哺育される胎仔の臓器発育成熟を検索するために、実験動物の山羊胎仔をわれわれの開発した人工子宮システムで哺育し、気管内液の分析、剖検肺・肝・脳重量を測定、また組識学的検討を加えた。人工子宮システムは、膜型人工肺を組み込んだ遠心ポンプ回路を胎仔に装着し、人工羊水中で哺育した。 対象は50時間以上哺育を行なった8例で、4例はステロイド、甲状腺ホルモン、EGFなどの成熟促進ホルモン投与哺育群とし、4例は投与しない非投与哺育群、4例の双胎の非哺育胎仔を対照群とした。 ザーネン種妊娠山羊をGOF全麻下に帝王切開し、ヒト胎児約25週に相当する在胎120-125日(満期150日)の胎児を娩出した。臍帯動脈より2本の脱血カテーテル、臍帯静脈より1本の送血カテーテルを挿入し体外循環回路に接続した。 その結果、湿重量は肺、肝、脳とも投与哺育群と非投与哺育群が対照群に比して有意に増加していた。乾燥重量では、肺は哺育群が対照群に比べ有意に増加がみられたが、成熟促進ホルモン投与群と非投与群の間には有意差はなかった。肺気管内液のレシチン分画、L/S比は哺育群が対照群に比べ高い傾向があったが、投与、非投与間には有意差はみとめなかった。肺組識はII型細胞の増加が2つの哺育群と対照群間、投与哺育群と非投与哺育群間に有意差をみとめた。肝組識は、哺育群では対照群に比べて細胞の増大がみられた。脳組識では、3群間に神経細胞の大きさ、数の変化を認めなかった。 これらの結果から、人工子宮哺育によって、肺は発育、成熟がみられたが、脳、肝は浮腫を認めたが成熟では明らかでなく、促進ホルモンの投与効果も不明であった。胎児治療モデル作製のため胎児手術は胎児長期生存が得られず今後の課題となった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 久野克也 他: "小児重症呼吸不全の医工学治療 -ECMO-"医工学治療. 11. 448-450 (1999)
-
[Publications] 岡成光,久野克也 他: "遠心ポンプ駆動によるV-V ECMOシステムの開発と臨床応用"神戸大学医学部紀要. 59. 101-107 (1999)