1998 Fiscal Year Annual Research Report
皮弁移植におけるスルファチドの効果と作用機序に関する実験的研究
Project/Area Number |
10671690
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
田嶋 定夫 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80051522)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 晃一 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90257858)
|
Keywords | スルファチド / 接着分子 / セレクチン / 皮弁移植 |
Research Abstract |
われわれはP-およびL-セレクチンに強く結合するスルファチドが、ラット腹部皮弁の虚血再灌流障害に対して抑制効果があることを明らかにした。今回、皮弁移植時にスルファチドを投与し、皮弁遠位部の微小循環において白血球と血管内皮細胞の接着を抑制することにより、皮弁生着域の拡大が得られるか検討した。 実験方法 1. スルファチド投与時における皮弁の組織学的検討 (1) 実験モデル 雄性300gのLewis ratの背部正中に1.0×4.0cmのsingle pedicleの皮弁を挙上する。挙上1時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後にそれぞれ組織を採取する。スルファチドは皮弁挙上時に1mg/匹を静脈内投与する。 (2) 組織学的検討 スルファチド投与群と薬剤非投与群の組織をH.E.染色し、比較検討する。 2. 皮弁の生着域の検討 (1) 実験モデル Lewis ratの背部正中に1.5×6.0cmのsingle pedicleの皮弁を挙上する。スルファチドは皮弁挙上時に1mg/匹を静脈内投与する。 (2) 皮弁挙上5日後に皮弁の生着領域をトレースし、皮弁の生着長を計測した。 実験結果 1. 組織学的検討 スルファチド投与群および非投与群ともに皮弁挙上1時間後、12時間後、24時間後では、著明な白血球の浸潤を認めなかった。非投与群では、48時間後に真皮の表層に帯状に白血球の浸潤を認め、72時間後には表皮直下にその帯が移動した。 それに対してスルファチド投与群では白血球の浸潤は極軽度であった。 2. 皮弁生着長の計測 スルファチド投与群の生着長は、49.5±1.7mm(n=10)で、非投与群は41.5±2.1mmであった。2群間には有意差を認めた(p=0.0084,unpaired Student's t test)
|