1999 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症における舌動脈及び下歯槽・歯髄動脈の石灰沈着機構に関する比較研究
Project/Area Number |
10671718
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山本 浩嗣 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (00102591)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 忠彦 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (50297850)
岡田 祐之 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70256890)
寒河江 登志朗 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (20112948)
|
Keywords | 動脈硬化症 / 舌動脈 / 下歯槽動脈 / 歯髄動脈 / 病理組織学 / 石灰沈着 / 成分分析 |
Research Abstract |
動脈硬化症において,環境因子の異なる顎骨外の軟組織に位置する舌動脈および顎骨内・歯牙硬組織内に位置する下歯槽・歯髄動脈の石灰化沈着を,病理組織学的ならびにその石灰化の成分について微小部X線回折装置を用いて検索した結果,以下の結論が得られた. 病理組織学的には前年度の実績報告に加えて,舌動脈および下歯槽動脈においてはズダンIII染色で赤染する中性脂肪が内膜から中膜に近接する部位にみられ,その程度が進行するにつれてアザン・マロリー染色でアニリン青に染まる線維硝子化やコッサ染色で黒染する石灰化を混在あるいは随伴していた.また所々針状の構造物も散在していた.内膜のこれら病変の著明なところでは,中膜が萎縮傾向を呈していた.一方歯髄動脈では脂肪沈着がみられるものは少なく,壁全体に石灰化が塊状にあるいはびまん性に観察された. 微小部X線回折で舌動脈および下歯槽動脈においてはアパタイトやコレステロール結晶が認められたが,歯髄動脈ではアパタイト結晶のみであった. 以上の結果は,骨や歯牙という同一に硬組織内に位置する動脈でも,動脈硬化症の脂肪沈着や,石灰化はその太さにより差違があることを示唆しているものと考えられ,今後更なるデータを集積し,比較検討中である.
|