2001 Fiscal Year Annual Research Report
唾液高プロリン蛋白質P-Bの分子遺伝学的ならびに系統発生学的研究
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10671761
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Research Institution | Nippon Dental University Junior College at Niigata |
Principal Investigator |
伊勢村 知子 日本歯科大学新潟短期大学, 教授 (10112963)
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Keywords | 唾液 / 高プロリン蛋白質 / P-B / 歯胚 / ウシ / 幼若エナメル質 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、唾液高プロリン蛋白質P-Bの蛋白質および遺伝子の構造、同族遺伝子の存在、P-B遺伝子の染色体上の位置等を明らかにしたが、この蛋白質の組織分布や機能については未だ、解明が不十分である。P-Bの組織分布については、唾液腺以外では、N末57残基がP-Bと同一である蛋白貨がウシ幼若エナメル質中に存在することが報告されているが、生合成サイトに関しては不明である。 本年度の研究では歯胚がP-Bの生合成部位であるか否かをmRNAの存在をPCR法によって追跡することにより検討した。まず、ウシP-B様蛋白質に対応するDNAがヒトP-BmRNAに由来するプライマーによって増幅されることを、ウシゲノムDNAのEcoRI消化物の1.5KフラグメントをテンプレートとするPCRによって確認した。次に胎生5ヶ月のウシ歯胚(組織顕微鏡写真によって、エナメル芽細胞、象牙芽細胞、歯乳頭等の存在を確認)からイソゲン(ニッポンジーン、チオシアン酸グアニジン法)を用いてtotal RNAを調整した。続いてmRNAをオリゴdT樹脂(Oligotex-dT30<uper>,JSR社)により精製した。この歯胚mRNAからcDNA合成キット(宝酒造)を用いてcDNAを合成した。調製した歯胚cDNAに関してはPCRによってハウスキーピング遺伝子であるGAPDHが増幅されることを確認している。 歯胚cDNAをテンプレートとして、ヒトP-BcDNAコード領域由来の2組のプライマーペアにより増幅を試みたところ、いずれの場合にも期待されるサイズのバンドが検出された。すなわちウシ歯胚にはP-BmRNAまたは類似のmRNAが存在していることが分かる。よって、幼若エナメル質中のP-B様蛋白質の生合成部位は歯胚であると考えられる。因みに、幼若エナメル質中に多量に検出される血清アルブミンはPCRにより殆ど増幅されないからおそらく血液によって運ばれてきたのであろう。
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