Research Abstract |
舌癌の放射線治療後に発生する放射線後障害(放射線骨壊死)を予防する目的で,スペーサーが使用されている。平成10年度の研究成果として,医療機関で使用されているスペーサーの実態調査を行った。その結果,スペーサーの材質として種々の材料が用いられており,その製作法,形態等については,規格統一されたものはないことがわかった。さらに製作に熟練と時間を要することがわかった。そこで,本年度は,より簡便なスペーサー製作法を確立し,本スペーサーを臨床応用して,以下の結果を得た。 1.簡便なスペーサー製作術式 1)印象(アルジネート印象材),2)作業模型作製(硬石膏),3)咬合床作製(床用レジン,パラフィンワックス),4)辺縁形成(コンパウンド,パラフィンワックス),5)咬合採得(パラフィンワックス),6)複製印象(アルジネート印象材,複製フラスコ),7)トレー用レジン填入,8)形態修正,研磨,9)試摘,調整,10)装着 以上の手順で製作する。製作の日数は3日(実日数2日)で,従来の10日(実日数5日)から大幅に短縮することが可能となった。 2.スペーサーの臨床評価 1)本スペーサーは,セット時の調整に時間を要するものの,製作がきわめて簡便であった。 2)製作した患者全員が,治療期間中24時間,本スペーサーを装着していた。 3)長期の経過観察が必要であるが,現在のところ放射線後障害の発生は1例もない。 以上の結果から,本スペーサーは,製作が簡便で臨床的にも有効であることが示唆された。
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