1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報による義歯の評価法の確立および全身的・精神的な義歯の意義について
Project/Area Number |
10671840
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
児玉 厚三 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (40205414)
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Keywords | 総義歯 / 満足度 / 自律神経機能 |
Research Abstract |
[目的] 高齢義歯装着者の義歯への適応性・順応性を含め装着義歯による生体への影響を身体的・精神的反応としてとらえるため,自律神経機能評価による生体情報を利用し,生体への総合的な義歯の受容度を評価し,生体に対する義歯の意義を究明することを目的とする. [方法] 被験者は審美的,機能的に満足の得られている当科総義歯リコール群および新義歯製作を希望して当科来院した患者のうち大きな全身疾患を有さない患者を対象とし,リコール群および義歯治療開始前後の義歯に対する主観的満足度(VAS評価による義歯機能アンケート)を評価した.さらに診療各ステップにおける,自律神経機能検査のうち非侵襲的生体情報(心電図および血圧変動による血行動態心電図R-R間隔変動,Schellong起立試験)を評価した. [結果] 1. 患者による義歯に関する主観的機能評価 新義歯製作を希望した旧義歯患者群に対し,リコール群および新義歯の装着で義歯の満足度は有意に高スコアを示した. 2. 自律神経機能の評価 現在まで行った心電図および血圧変動による血行動態の評価では,義歯に満足度の低い旧義歯患者群において交感神経優位の傾向を認めたが,明らかな自律神経機能への影響は認めなかった. これまで計測した自律神経機能検査は非侵襲的で,簡便かつ再現性が高いなどの利点を持つ循環器生理学的検査法を応用した.心拍数は交感神経機能亢進により増加し,逆に副交感神経機能亢進により減少するといわれ,一般に規則正しいものとされており,自律神経機能を把握する検査法として広く用いられているが,加齢などによる影響を受けるとされている.そこで,被験者の追加とともに年齢分布を考慮し,各年齢相別による分析を行うとともに,簡便で非侵襲的な他器官の検査項目を追加し,さらに詳細な検討を加え,自律神経機能への影響を再確認したいと考える.
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