1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671871
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
糟谷 政代 名古屋大学, 医学部, 助手 (20109325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤木 佳弘 名古屋大学, 医学部, 講師 (00215906)
磯野 信策 新潟大学, 歯学部, 助手 (10168289)
伊藤 静代 札幌医科大学, 助手 (10045453)
上田 実 名古屋大学, 医学部, 教授 (00151803)
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Keywords | 唇顎口蓋裂 / 人物画テスト / push back法 / 2段階口蓋形成術 / 情緒 / 発達 |
Research Abstract |
【目的】:日常の臨床では唇顎口蓋裂児の精神的な成熟や情緒的な問題について、母親からの情報と子供から受け取る印象が異なることがある。我々は唇顎口蓋裂児の精神的な成熟や情緒的な問題を把握することと、口蓋形成手術方法で差違があるのかどうか検討した。 【対象】:対象はpush back法を施行した6-11歳までの唇顎口蓋裂児 107例、2段階法を施行した23例に人物画テストを施行した。 【測定方法】:人物画テストは各自にA4サイズの白紙と2Bの鉛筆を手渡し 「人間を描いてください。誰を描いてもいいですが漫画のようになってはいけません。」と指示した。描画分析は児童の年齢の成熟水準に関係する30の発達項目、子供たちの不安や態度を反映する30の情緒的指標項目を検討した。 【結果】:WISCとスタンフォウド・ビネーのIQと有意な相関関係が存在する発達項目の人物描画平均得点は、push back法の男児では5.2,女児は4.7、2段階法の男児では4.4女児では4.7で、IQ80〜120(平均知能下から平均知能上)の範囲内に存在するものが多かった。情緒指標では不満足の人間関係や情緒上の問題やが強く示唆される微標表出数が2つ以上のものが、push backの男子では41.3%、女子は62.6%、2段階法男子では36.4%,女子では58.3%であった。また10%以上の出現率を示した情緒微標は過大像、四肢の大きな非対称、胴体と腕との間に空間なし、鼻の欠如、短すぎる腕、脚の欠如、頸部の欠如などの項目があった。 【考察】:人物描画面から唇顎口蓋裂児の情緒面を検討すると、手術方法には関係なく唇顎口蓋裂児は引っ込み思案で、リーダー性や自信を持って前進する態度は少なく、人間関係の不得手さや情緒的な問題を抱えている子供が多いことがが示唆された。これらの問題解決には子供たちの生活背景や、他のテスト資料をも併せて、総合的に評価する必要性がある。また、本研究で得られたこれらの特徴は口唇口蓋裂児の自己概念の形成過程との関連性が重要な要因になると推察されうため今後の研究課題として取り組みたい。
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