2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672218
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
小野寺 杜紀 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40070700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 里美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助手 (60315702)
山田 聡子 愛知県立看護大学, 看護学部, 助手 (80285238)
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Keywords | 看護倫理教育 / 倫理的課題 / 看護大学生 / 臨床実習 |
Research Abstract |
看護大学1,2,3年生を対象に、倫理的課題に対する認知と対処方法、及びそれらの影響要因について調査した。 1.S大学看護学科1,2,3年生241名を対象に、倫理的課題に関する自記式調査用紙の回答を求め、回収数188名(回収率78.8%)を得た。看護倫理に関連する20の用語について「説明できる」「聞いたことがある」「知らない」の3肢選択法で回答を求めた結果、「癌告知」「インフォームドコンセント」に関しては、いずれの学年でも90%以上が「説明できる」と回答していた。一方「知らない」の回答が最も多かったのは「DNR」で、いずれの学年も70%以上を占めた。また看護職のアイデンティティの12項目の調査では、1,2年生に比べると3年生は、看護職のアイデンティティが低くなる傾向が見られた。項目毎にみると、「もっと看護の技術を学びたい」「もっと看護について勉強したい」「看護の仕事に誇りをもっている」の順でどの学年も高かった。現在は、倫理的課題に対する認知・行動と、看護倫理に関する知識や看護職のアイデンティティの関連性の分析を進めている。 2.1,2,3年次共に調査の協力が得られたS大学看護学科3年生18名に、半構成的面接調査を実施した。調査は、臨床実習で遭遇しうる倫理的課題「病名告知」「ケア方針の違い」2題に対し、「どのように思いどう行動するか」「それはなぜか」の回答を求めた。更に昨年度の回答内容を黙読してもらい、「昨年の回答との違い」と「今回の回答に影響していると思う要因」「変化した理由」についても質問し、これらの結果を縦断的に比較した。 「病名告知」に関しては、癌告知は基本的には本人の希望に従って行うのが望ましいという考えは、1〜3年生を通じあまり変化はしなかった。しかし、実際に本人に告知することに関しては、高学年になるにつれ慎重に対処した方が良いという考えが強くなる傾向が見られた。回答の内容は実習で受け持った患者や身内の入院経験が強く影響していた。「ケア方針の違い」に関しては、患者が病状改善の可能性があるなら、積極的なケアをした方が良いという基本的な考えはあまり変化がなかった。実際の患者や家族へのケア方法に関しては、ケアマネージャーや介護保険、家族看護などの授業の影響が強く見られた。「病名告知」と「ケア方針の違い」どちらに関しても、「学生である」という立場が、行動を考える上で強く影響しており、臨床実習の経験が多くなる3年生ほど、それを意識し、行動方針を決定する傾向があった。今後は倫理的意思決定場面における、看護学生としての役割について考慮しつつ、教育方法や実習指導を考えていく必要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)